「幸運呼ぶ」ピンクのキリギリス見つけた! 小2女児「小エビみたいでかわいい」 兵庫・西宮
兵庫県西宮市立夙川小2年の松本理央さん(7)が、全身ピンク色のキリギリスを自宅の前で発見した。目立つため捕食されやすく、その珍しさからインターネット上などでは「幸運を呼ぶ」とも言われ、メディアをにぎわせることもしばしば。ただ、謎も多いという。捕まえて飼育することにした松本さんは「小エビみたいでかわいい」と喜んでいる。(地道優樹) 【動画】松本さんが捕まえたピンクのクビキリギス 8月30日昼、大好きなトンボ探しが不発に終わって帰宅した松本さんは、玄関前の白いコンクリート塀にピンク色の小さい何かを見つけた。「花びらかな」と思って近づくと、体長2センチほどの虫だったため、急いで虫取り網で捕獲した。 同県伊丹市昆虫館の長島聖大学芸員(45)によると、全国各地に生息するバッタ目キリギリス科の「クビキリギス」の幼虫。通常は緑か茶色だが、たまにピンク色の個体が出現することもあり、同館にも年に数回は問い合わせがあるという。 色が変化した理由については、突然変異や遺伝、環境適応など諸説あるが、「どれも科学的な根拠はなく、明確にはまだ分かっていません」と長島さん。一方、松本さんは捕まえた当初「赤いインクで色が付いたのかな」と思ったという。 ピンク色の個体は外敵に見つかりやすいと知り、松本さんは「食べられたらかわいそうだから」と飼うことにした。見つけた場所の「壁」と「ピンク色」の頭文字を取って「カピ」と名付け、ひとまず虫かごで育てている。 ただ、長島さんによると、ピンク色のキリギリスは成長して脱皮を重ねるうちに、本来の緑色や茶色に戻っていくこともあるのだとか。それを聞いた松本さんは「その時は逃がす!」と断言した。 ■赤系に変色の目撃は増加 「幸運を呼ぶ」とも 原因は未解明 ピンク色の昆虫が目撃され、テレビや新聞に取り上げられる機会は増えている。広島市森林公園こんちゅう館の久我立(たつる)技師(30)と石川県ふれあい昆虫館の渡部晃平学芸員(38)が今年3月に発表した論文によると、赤系の色に変色したいわゆる「ピンクのバッタ」についての新聞記事は2003~23年で計67本。17、18年ごろから増え始め、20年以降は毎年7~13件が掲載されている。 種名が確認できるのは4科18種のうち、最も多いのがクビキリギス(21件)で、次にバッタ科のショウリョウバッタ(14件)。同じバッタ目でも、コオロギ科やカマドウマ科などでは見つかっておらず、種類によって報告数にばらつきがあった。 体の一部のみが変色する例もあり、未解明の部分が多いという。久我さんは「種ごとに体色に関わる色素を特定するとともに、遺伝や環境の効果を検証していく必要がある」と話す。 捕獲がまれなことから、「幸運を呼ぶ」とも言われるピンクのバッタ。渡部さんは「自然界での出現頻度は不明だが、珍しいことに間違いはない。研究サンプルとしても非常に価値がある」と話していた。