ヤクルト今季初4連勝支えた増田が生み出したハカ旋風 出合いは横浜高校時代
高津ヤクルトの今季初となる4連勝を支えた裏には、昨季ソフトバンクを戦力外になった増田珠内野手(24)の持ち込んだ舞があった。4月29日・巨人戦(東京ドーム)から勝利する度に影響力も増していった「ハカ旋風」とは-。ニュージーランドの民俗舞踊とは、横浜高時代から縁があった。 【写真】オールブラックス伝統のハカ もう半端ない気合入りまくりの民族舞踊 ◇ ◇ 元気印の生み出した輪は周囲を巻き込みながら伝染し、次第に大きな力となった。今季初の4連勝を支えたハカ旋風。“新鮮力”の増田が変えた空気は戦う気持ちを高め、確かな団結力を生み出す雰囲気をまとった。 ハカとはニュージーランド・マオリ族の民俗舞踊。本来は戦士たちが戦いの前に手をたたき、足を踏みならして力を誇示する舞踊だが、現在は相手に対する敬意や感謝の意を表する舞として披露されるという。ラグビー同国代表「オールブラックス」が国際試合前に行う儀式として有名だ。 増田がソフトバンク時代から披露していたハカとの出合いは、横浜高時代までさかのぼる。2011年、同校のニュージーランド海外研修に参加した生徒がHAKAと出合い、感激を共有できたことから帰国後にHAKAチームを結成。増田も「僕らのクラスではないですけど、ニュージーランドと交換留学もあった。当時から身近でしたね」と自然な形で触れ合ってきた。 そして19年、日本で行われたラグビーW杯に心を動かされた。「純粋にかっこいいな、と。強いところのものを取り入れられたらいいな」。何度もYouTubeを見ながら猛特訓。「練習は割とやりましたね」と笑った顔は誇らしかった。 強いリスペクトを抱く“常勝軍団”の持つ舞は、新天地・ヤクルトにも持ち込まれた。 4月29日・巨人戦の試合前に声を上げると、打線爆発の完封勝利。すると、増田はすぐに動いた。指名したナインたちにハカ動画を“宿題”として送信。翌戦からは松本直&武岡が、5月1日には西田&北村拓が増員。1勝ごとにメンバーを増やした。 また本拠地に戻った同3日には、「品川水族館から…フィッシュ長岡が、大井競馬場から燕のゴールドシップこと塩見さんが参加してくれます」と盛り上げ役にも徹し、つば九郎も参戦するなど、連勝中の風物詩にもなった。 だが連勝は止まり、ハカ旋風も終演。ただ、また機会はあると信じている。青木からは「いつでもやるよ」と伝えられ、「哲さん(山田)も冗談っぽく『早くやりたいわ』って言ってくれました」と続ける。「(山田と西川は)最後から2番目。2回はやってもらいます」。順番のシミュレーションも完璧だ。夏、秋と必ず訪れる快進撃の中心には、ハカ旋風がある。(デイリースポーツ・松井美里) ◆増田 珠(ますだ・しゅう)1999年5月21日生まれ、24歳。長崎県出身。179センチ、85キロ。右投げ右打ち。内野手。横浜高から2017年度ドラフト3位でソフトバンク入団。23年は35試合に出場したが、オフに戦力外通告を受け、今季からヤクルトに加入した。今季はここまで6試合出場で打率・222、0本塁打、0打点。