全国唯一の「水族館部」 高校の中に2000匹 !? 創立25年で初の“お引っ越し” 魚愛と命のドラマ【NNNドキュメント】
■初日から恋に落ちた? マダコの“もなか”
100メートルほど離れた、新しい水族館への魚たちの引っ越しの日。タコ担当の石丸さんは、マダコの“もなか”が入る新居づくりに取り組んでいました。広くなった新しい水槽に最高のすみかを作ってあげたい!自分で集めてきた海藻をレイアウトしていきます。 「できました、多分、けっこう早めに終わりました」 いつか、もなかのお嫁さんになってくれたらいいなと、石丸さんは、若いメスのマダコを入れました。その3時間後、もなかが、メスダコのタコ壺の中に入っていきました。 「え!何しよん!」と驚きの声を上げた石丸さん。 石丸さん 「え、初日?え、そんな一日でやるとは私、思わんかったんやけど」 「交接(※受精の行為)してるかもしれないです。初日で恋に落ちたんですかね」
■引っ越し翌日 思いもしなかった光景
しかし、その翌日、事件が起きました。水槽の中に石丸さんが見たのは、死んだ“もなか”でした。 石丸さん 「あれ…。え、なんでだ…。いやあ、マジか」 もなかが、死んでいました。メスと交接したオスダコは、死に至ることが多いということ。しかし、引っ越し翌日とは、石丸さんも予想していませんでした。
■竜宮城のように 生まれ変わった「新水族館」
石丸さんは、学校からおよそ50キロ離れた宇和島市から入学。親元を離れ、地元の人がリフォームしてくれた女子寮で下宿していました。 新水族館のオープンまで2日と迫った、4月の夜。石丸さんは、愛媛名物のたこ飯を作っていました。調理していたのは、“もなか”でした。たこ飯を口に運び、「……こんな味だったのか」とかみしめる石丸さん。 石丸さん 「“もなか”が、私の中で生きてくれてたらいいなと思いますね」 そして迎えた4月20日、オープンの日。新長高水族館には多くの人が詰めかけていました。石丸さんは、1匹だけになったタコ水槽の前で「卵巣が発達して卵ができるようになったら、受精させて卵を産んでくれるはず」と話していました。 まるで、竜宮城のように生まれ変わった新水族館。これからも、高校のすぐ隣で、夢と生き物の命を育て続けていきます。