<異修羅>魔王自称者&異世界人の大人コンビ、盲目の少女&ワイバーンの異種族コンビ…… その関係性やアクロバティックなアクションにも反響多数
修羅たちによる「最強」vs「最強」を描いた壮絶なバトルファンタジー「異修羅」(毎週水曜夜11:00-11:30ほか、TOKYO MXほか/ディズニープラスで見放題独占配信・YouTube・ABEMAで見逃し配信)。迫力のバトル描写はもちろんのこと、豪華キャスト陣が演じる個性溢れるキャラクターたちが織りなす重厚な人間ドラマも見どころの本作。1月17日に放送された「第三話」は、黄都と対立するリチア新公国側の主要メンバーが登場する「鵲のダカイと夕暉の翼レグネジィ」。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】打算的で大人な関係が気になる警めのタレン(朴璐美)と鵲のダカイ(保志総一朗) ■限界突破のアクロバティックアクション 前半は警めのタレン(CV:朴ロ美)と鵲のダカイ(CV:保志総一朗)の物語。黄都から離反し、自分の領地を「リチア新公国」として独立させた「魔王自称者」のタレン。黄都との戦争に向けて準備を進める彼女は、右腕であるダカイから魔具「冷たい星」を受け取る。来たるべき戦いのため、ダカイは魔具の収拾を命じられていたようだ。そしてタレンはさらにダカイに対し、リチアの情報を黄都に流している内通者の捜索と排除を命じる。 冒頭、タレンの人柄が分かるエピソードが描かれる。街の少年から声を掛けられたタレンは、彼から感謝の言葉をもらう。タレンは少年に、民が暮らしに困らないようにするのが自分の仕事だと答え、さらには彼が差し出した手作りの小箱を受け取り「大事に使わせてもらうよ」と、優しく微笑む。タレンは黄都側からすれば「魔王自称者」であり危険な存在だが、自国の民からはとても慕われていることが分かる。また彼女には彼女なりの信念があり、なぜ黄都から離反したのかは分からないものの、おそらく民を思っての行動なのだろうと思わせてくれる。異世界から来た客人であり、本来は自由気ままな性格のダカイがタレンに協力しているのも、そんなタレンの人柄や信念を知っているからこそなのかもしれない。 タレンの命で内通者を探すダカイは、さっそく行商人としてリチアに紛れ込んでいた3人を特定する。正体を見破られた内通者たちは剣を抜き、ダカイとの戦闘が始まる。川を挟んだ向こう岸からの狙撃にも対応するダカイは、暗闇にも関わらずその人数を正確に把握すると、目の前の3人を倒し、川を飛び越えて向こう岸のビルへ。そこに潜んでいた7人を圧倒し、さらに機密文書を入手すると、「さあて どう出る? 黄都」と不敵な笑みを浮かべるのだった。 ダカイと内通者たちの戦いでは、ダカイのアクロバディックなアクション描写に注目したい。「第一話」で登場したソウジロウ(CV:梶裕貴)も剣の使い手だが、それとは戦闘スタイルがまったく異なるのが魅力だ。ダカイは「ラズコートの罰の魔剣」というあらゆる攻撃の先手を取れる魔剣を扱いはするものの、「柳生」を名乗るソウジロウのような型や技はなく、とても自由で臨機応変なのが特徴。とくに最初の3人を倒すまでの一連のシーンはケレン味たっぷり。相手の槍を蹴り上げて自分も空中へ飛び、剣で狙撃の銃弾を弾きつつ、足の指で槍先をつかみそのままキック一閃。一回の跳躍で3人をなぎ倒すアクロバティックかつスタイリッシュなアクションシーンは本話のハイライトだろう。その後に見せた曲芸のような剣回しも含めて、ダカイのバトルはとにかくお洒落でカッコよく、飄々としていてつかみどころのない彼の魅力をよりいっそう引き立ててくれる。SNSでも「アクション良すぎない?」「ダカイ強すぎ!」など、このバトルシーンに視聴者はおおいに沸いていた。 ■ピュアすぎるふたりに思わず胸キュン 後半は、夕暉の翼レグネジィ(CV:森久保祥太郎)と晴天のカーテ(CV:雨宮天)の物語。リチアの空を守るワイバーン軍司令のレグネジィは、人間の女児がひとり行方不明になった事件を受けて、配下のワイバーンたちを問い詰め、犯人をみんなが見ている前で殺してみせる。レグネジィは恐怖と規律を駆使することで、どう猛なワイバーンたちを統率しているのだ。 この処刑シーンでは、規律を重んじるレグネジィの苛烈さが際立っている。ただ、こうでもしないとワイバーンを統率することなどできないということかもしれない。レグネジィは「真に強き者は率いる者 より多くの命に責任を負う者だ」と語っており、ワイバーン軍の司令としての責任感はかなり強く、単なる恐怖政治という訳でもないことが伺える。また作画に目を移すと、レグネジィの浮遊シーンも大きな見どころだ。死骸を口に咥えて空中に浮かび続けるカットでは、かなり激しく翼をはためかせている。リアルなことを言えば、ワイバーンの体重や翼の大きさを考慮するとそもそも浮くのは難しいとは思うが、それでも「もし飛べるなら絶対にこれくらい必死に頑張るよね」というラインが見事に表現されている。一方で、空中を飛行しているシーンではあまり翼は動かず、つまりはグライダーのように「滑空」していることが分かる。「第二話」でもワイバーンの飛行シーンは描かれたが、今回はそれがより丁寧に表現されていて、これがワイバーンという存在の説得力を格段に増していることは忘れてはならないだろう。 リチア中央城塞にある塔では、目の見えないカーテが日記を書いていた。そこにやってきたレグネジィは、カーテと他愛のない会話を交したのちに横になり、彼女に歌うよう促す。カーテとレグネジィはともに本物の魔王の襲撃を受けて生き残った者同士であり、カーテの歌は、絶望と恐怖のなかで正気を保つことができた希望の歌だった。盲目の少女・カーテとワイバーンであるレグネジィの、奇妙な、それでいて純粋な心の交流が美しい。 ここではなんと言ってもレグネジィのギャップが萌えポイントだろう。つい先ほど部下を処刑し「規律を乱したバカの末路を見ろ!」とすごんでいた彼が、カーテの前では口の悪いツンデレ彼氏くらいの塩梅に収まっている。カーテのことを「雑魚」や「マヌケ」、「ノロマ」などと言いつつも、転びそうになった彼女を「転んだらどうする!?」と本気で心配するなど、なんとも可愛い一面を見せてくれる。レグネジィが自分の身体に触らせない理由はまだ不明だが、ふたりのあいだにある絆は本物なのだろう。ここはSNSでも「めっちゃイチャイチャするやん」、「歌うカーテと聴くレグネジィが最高!」など、癒された視聴者も多かった模様だ。ともあれ、「第三話」を通じてリチア側の主要キャラの人となりや関係性はだいぶ明らかになったと思う。タレンとダカイのちょっぴり打算的で大人な関係と、レグネジィとカーテのピュアで強い絆。あなたはどっち派だっただろうか? さて次回「第四話」は1月24日(水)放送予定。期待して待とう。 ※朴ロ美のロは、王へんに路 ■文/岡本大介