1軍キャンプ抜擢の新人選手、生き残るのは誰? その術は?
キャンプイン前に12球団の1、2軍の振り分けが終わり、ソフトバンク、西武を除く10球団に期待される合計32人(パ・11人、セ・21人)のルーキーが1軍キャンプに抜擢された。その内訳は表を参考にして欲しいが、高卒ルーキーながらオフの話題を独占していた楽天のオコエ瑠偉外野手(関東第一)と、楽天と競合したロッテの平沢大河内野手(仙台育英)や、即戦力投手としての期待値の高い横浜DeNAの今永昇太(駒大)、熊原健人(仙台大)のコンビ、広島の岡田明丈(大商大)、巨人の桜井俊貴(立命大)も名を連ねた。 一方で日ハム、中日の3球団が競合したソフトバンクの高橋純平投手(岐阜商)、2球団が競合してヤクルトの真中監督が当たりクジを勘違いするという“事件”を起こした阪神の高山俊外野手(明大)、西武の多和田真三郎投手(富士大)、オリックスの吉田正尚(青学大)らは2軍スタートとなった。 ソフトバンクの高橋の2軍スタートは、あり余る戦力を持っているソフトバンクゆえの育成方針。まだ基礎体力も不足している大器を故障させずに大きく育てようという狙い。阪神の高山は、即戦力としてのドラフト1位指名だったが、右手有鉤骨を骨折していたため、スイングは大丈夫だがまだ肩などができておらず、多和田も自主トレでブルペンに入っているが、昨年5月に肩を痛めていたため無理をせず、吉田も左足を痛めているため大事をとって、2軍からの始動となった。 昨季は、広島の野間峻祥(中部学院大)、DeNAの山崎康晃(亜大)、ロッテの中村奨吾(早大)ら15人が開幕1軍切符を手にした。果たして今キャンプを勝ち抜き開幕1軍に登録されるのは何人になるのか。 元ヤクルトの名スカウトとして古田敦也、宮本慎也らを発掘してきた片岡宏雄氏は展望をこう見ている。 「32人の顔ぶれを見ると厳しい言い方をすれば、この投手は間違いなく開幕1軍を手にしてローテーションに入る、あるいはこの野手はスタメンで起用されるという選手は一人もいない。ただ開幕1軍に抜擢されるかどうかについてはチーム事情もある。ドラフト上位で指名された大学、社会人出の投手、今永、熊原、岡田、桜井、原あたりは、十分に可能性がある。どのチームも左の中継ぎ、ワンポイントが欲しいから、そこを埋める構想で指名された大学、社会人の投手は、オープン戦で結果を残せば1軍切符を手にすることができるだろう。球威やキレはもちろん、プロでは“ここぞという場面”でのコントロール、ボールの出入りをできるかが通用するか否かの分かれ道になる。 問題はオコエ、平沢の話題性のある高卒の野手2人。星野がフロントの責任者である楽天の体質から考えると、将来性と人気を考えオコエをいきなり1軍メンバーに入れてくる可能性は高いが、彼ら2人は、まず守備と走塁で最低限のプロレベルにあるかどうか。特に細かいチームプレーをこの期間に身につけることができるかどうかにかかっている。凡ミスを連発するなど守備が不安定であれば1軍では起用しにくいだろう。 その点、平沢は、すでに高校生の段階である程度、チームプレーはできているし、ロッテは二塁と三塁がいなくなっているのでチャンスはあるのかもしれない。大学、社会人出身の野手についても、まずは守備と走塁から。より安定感を求められ、バッティングについても1軍枠に割って入るには結果が必要だろう。開幕1軍に32人のうち半分が残ればいいのでは」