イチからわかる秘密保護法案 懲役10年の厳罰、「知る権利」に懸念
国家機密の情報漏えいに対して厳罰を科す「特定秘密保護法案」が10月25日、閣議決定されました。9月に公表された法案概要に、いくつかの修正が加えられています。そもそも特定秘密保護法案とはどういうものなので、どこが修正されたのでしょうか。 法案では、(1)防衛、(2)外交、(3)特定有害活動(スパイなど)の防止、(4)テロ活動防止の4分類に関する事項のうち、漏えいすると日本の安全保障に著しい支障を与える恐れがある機密を「特定秘密」に指定し、保護するとされています。 秘密の有効期間は「上限5年」で、大臣など行政機関のトップの判断で無限に更新でき、その間、国民には重要情報が知らされなくなります。また、情報を漏らした国家公務員などには、最大で懲役10年の罰則が科されます。
「知る権利」「取材の自由」に配慮したが
このような問題もあって、法案作成の過程では、いくつかの懸念が示されました。9月3~17日に実施されたパブリックコメント(意見公募)では、約9万件の意見のうち、反対が8割近くを占めました。反対意見の多くは、「原発問題やTPP(環太平洋連携協定)交渉など重要な情報を知ることができなくなる」「取材行為を萎縮させる」など、国民の知る権利や報道の自由を懸念する内容がほとんどでした(9/27付、東京新聞)。 政府が条文を修正したのは、こうした反対意見を考慮したためです。報道・取材の自由について「(国民の知る権利の保障に関して)十分に配慮しなければならない」との条文を追加したほか、罰則の対象となる取材を「著しく不当な方法によるもの」とするなどの表現を加えました。 また、特定秘密の指定が30年を超える場合は、内閣の承認を必要とするという修正も加えられました。特定秘密の期間が拡大しかねないとの指摘に応えたものです。 修正は加えられましたが、まだ懸念は残っています。取材の自由について「十分に配慮」とはどういうことか、また、「不当」な取材と判断する基準は何なのか、といった点があいまいで、取材活動への萎縮効果が残るという声があります。