店主急逝、福島の老舗音楽バー「アズ・スーン・アズ」 常連奮闘、再開へ着々
店主が急逝した福島市の音楽バーを存続させようと、店を愛する常連客の有志が再出発を目指して奮闘している。ジャズ演奏やDJイベントなどを通じ、多彩な文化を発信してきた同市大町のバー「アズ・スーン・アズ」は昨年11月、店主の安斎省吾さん=享年(59)=が死去。一時休業を余儀なくされたが、有志たちが昨年12月に新体制で仮オープンした。
運営に携わる有志の一人、盛巧磨(もり・たくま)さん(40)は「大事なのは、いかに店の雰囲気をそのまま継続させるか。省吾さんと語り合った店への思いをつないでいきたい」と話す。 店の歴史は約34年前までさかのぼる。安斎さんの母佳子さん(83)が1990年にジャズバーとして始め、2000年ごろに安斎さんが引き継いだ。音響関係の専門学校で学び、テクノやロックなどさまざまな音楽や文化全般に造詣が深かった安斎さん。店主との語らいを求めて通う客も多かっただけに、佳子さんや常連客は、店の先行きに不安を募らせていた。 再出発のきっかけは交流サイト(SNS)での発信だった。「200回以上開催している看板イベントを続け、お酒と多様な音楽を楽しめる店を続けたい」ー。安斎さんと家族ぐるみで親交があった阿高あやさん(39)ら有志は、佳子さんを支えながら、店への思いをSNSで発信。投稿を見た盛さんが協力を申し出た。 盛さんと面談した佳子さんは、安斎さんの死後、初めて涙を流し「息子の店を預けられる人が見つかった」と思いを語った。
昨年12月に仮オープンすると、店に再び音楽が響き、常連客の心を温めた。自営業と掛け持ちで運営する盛さんは「今後は、誰でも店に立てる仕組みを作りたい」と話し、持続可能な経営の在り方を検討していく考えだ。営業時間は火~土曜日の午後6時~同10時。詳細は店のインスタグラム(@as_soon_as1990)へ。建物修繕費の寄付も呼びかけている。
福島民友新聞