サブウェイとマクドナルドの決定的な違い
居酒屋のワタミが、サンドイッチの「SUBWAY(サブウェイ)」日本法人を買収――。衝撃のニュースに、SNSでは「嫌な予感しかしない」「どうなっちゃうのかな」と不安や困惑の声が広がっている。日本のサブウェイが抱える「最大の課題」、そしてマクドナルドとの決定的な違いとは?(イトモス研究所所長 小倉健一) 【写真たくさん】サブウェイで「野菜上限」注文したらエライことに…もはや野菜のバクダンじゃん! ● 居酒屋ワタミ「畑違い買収」の野望 居酒屋チェーンのワタミは10月、米サンドイッチチェーン大手「サブウェイ」の日本法人の買収を発表した。現状、国内店舗は178店だが、将来的に3000店まで拡大することを目指している。 産経新聞によれば、ワタミの渡辺美樹会長は「サブウェイは世界で約3万7千店舗を持っている。国内で数多く出店できるブランドは他にない」と述べたという。 今回は、サブウェイについて考えてみよう。 サブウェイは世界的に展開するファストフードチェーンであり、主にサブマリンサンドイッチを提供している。1965年にアメリカで創業し、100以上の国と地域に約3万7000店を展開している。 全世界で4万店舗を超えるマクドナルドや、スターバックスに次ぐ規模を誇る。顧客の健康志向に応えるため、新鮮な野菜や多様なパン、ソースを選べるカスタマイズ可能なメニューが特徴である。 サブウェイの戦略について研究した「A Study of Subway Marketing 4P Strategy」(2021年)というレポートには、同社のマーケティング戦略(主にアメリカ)における4P(製品、価格、プロモーション、場所)について記されており、本稿ではその概略を紹介する。
● サブウェイの4P、日本では? レポートを精査すると、日本のサブウェイの課題が見えてくる。 1.製品(Product) サブウェイの主力製品はサブマリンサンドイッチであり、サイズや具材のバリエーションが豊富である。特に「ミートボールマリナーラ」や「スパイシーイタリアン」が人気商品だ。地域ごとの嗜好に対応するため、中国では「四川風チリチキンサンド」、インドではベジタリアン向け商品を提供している。 サブマリンサンドイッチは長くて細いパンを使ったサンドイッチであり、名前の由来は形が潜水艦(サブマリン)に似ていることからきている。パンの中を切り開いて、野菜やお肉、チーズ、ソースなど好きな具材を詰めて作るのが特徴だ。サブウェイでは、具材の組み合わせを自由に選べるのが大きなポイントである。 例えば、レタスやトマトなどの新鮮な野菜をたっぷり入れたり、チキンやハム、ツナといったお肉を選んだりできる。また、ソースも甘いものから辛いものまで様々あり、自分の好みに合わせて味をカスタマイズ可能である。 2.価格(Price) サブウェイの価格は他のファストフードチェーンよりも高い傾向にある。健康志向や新鮮な材料を強調した価値を提供しつつ、複数商品をセットで割安に提供する「バンドル価格戦略」を導入している。 3.プロモーション(Promotion) プロモーションは伝統的なテレビ広告からSNSを活用したデジタルマーケティングまで多岐にわたる。例えば、アニメ『ファミリー・ガイ』とのコラボで視聴者の注目を集めた。 また、ソーシャルメディアを利用することで、1000人に2.5ドル(約380円)という低コストで広告を展開している。調査では、回答者の64.4%がバウチャー形式のプロモーションを支持しており、こうした点を今後の戦略に活用するべきだ。