名刀「号 骨喰藤四郎」真田丸・大阪展に登場
武士と職人による文化財保護の国家プロジェクト
「号 骨喰藤四郎」「骨喰吉光模」に隣接して展示されている「刀絵図」は、「号 骨喰藤四郎」の古い記録だ。明暦の大火で焼かれる前の名刀の姿をしのぶことができる。 内藤主任学芸員は「絵図情報で古い姿を残し、再刃や写しの技術に磨きをかける。さまざまな手法で名刀を未来につなぐ努力がなされました。戦国の世で失われたのは人のいのちだけではありません。貴重な文化財も損なわれていく。混乱の一方で文化財を支える人たちがいたことにも、思いを巡らせていただけたら」と話す。 武士と職人たちによる文化財保護の国家プロジェクトだ。美意識や使命感とものづくり力を融合させた取り組みが長らく名刀を伝え、今も現代人の心を打つ。展覧会の隠れテーマのひとつだろう。「号 骨喰藤四郎」に見入っていた20代女性は「私にはキラキラ輝いてみえますが、ずっしり重そう。日本刀はそれぞれ歴史を秘めているところが好きですね」と、興奮を隠そうとしない。
大坂夏の陣で信繁所用とされる薙刀も展示
一般的にはなじみの薄い薙刀にも着目したい。大河ドラマ「真田丸」の主人公真田信繁(幸村)は、夏の陣で家康本陣へ斬り込み、一時は家康に自害を覚悟させた。しかし、陣形を立て直した徳川勢を攻めきれずに討ち死にした。 討ち取った越前松平家の武士が分捕った信繁所用とされる薙刀が、信繁の血付きの采配とともに展示されている。最後の決戦に臨んだ信繁は、薙刀で戦っていたことになる。刀剣を通じて戦国時代を見直したり、武家社会の奥行きを探るのも意義深い。 展覧会は来月6日まで開催。「号 骨喰藤四郎」は今月24日までの期間限定展示。詳しくは大阪歴史博物館の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)