<解説>「虎に翼」道男役で注目の和田庵 “恩師”が「和製リバー・フェニックス」と評した18歳の“横顔”
ちなみに同作のオーディションで石井監督と対面した際にかけられたのが、「“和製リバー・フェニックス”みたいだな」との言葉。リバー・フェニックスといえば、映画「スタンド・バイ・ミー」(1986年)で若くして注目を集め、「ジェームズ・ディーンの再来」などと呼ばれるも、ガス・ヴァン・サント監督の「マイ・プライベート・アイダホ」(1991年)などを経て、23歳でこの世を去ったカリスマ。だが和田さんは、その比較に最初はピンとこなかったという。
それでもそのはず、リバー・フェニックスが亡くなったのは1993年で、和田さんが生まれる10年以上前の出来事。それでも和田さんは「(石井監督の発言に)周りから『おおー』という声が上がったので、『すごい人なんだな』とは思いました。その場では『ありがとうございます』と言って、帰って調べてみたら、本当にすごい人でした」と振り返っている。
◇新人賞“3冠”も、“恩師”からは「2年後が危ない」と言われ
「茜色に焼かれる」以降は、WOWOW初のハリウッド共同制作ドラマシリーズとして、2022年4月に配信・放送がスタートした「TOKYO VICE」に出演。さらに2023年公開の映画「エゴイスト」で鈴木亮平さんの中学時代に扮(ふん)した。
さらに、今年4月1日にカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマとして放送された「GTOリバイバル」の生徒役を経て、今回出演したのが、和田さんにとって初の朝ドラとなった「虎に翼」だ。
演じる道男は、生きていくために犯罪に手を染めている戦災孤児。「轟法律事務所」に出入りし、寅子ともそこで出会う。その後、道男は猪爪家に居候するようになり、花江(森田望智さん)にとった態度が誤解され、一度は家を飛び出してしまうが、死期が迫るはるに会うため舞い戻り、はるからは「全てを突っぱねちゃダメ」などの言葉を贈られる。
はるはその後、この世を去るが、道男は花江に謝罪。そして、再び商売を始めようと東京に帰って来た「傍聴マニア」の笹山(田中要次さん)の元で、すし職人を目指すことになり……。
「茜色に焼かれる」の純平とはまた違った形で、思春期特有のどこか粗野だけど、傷つきやすい繊細さ、揺れ動く心を表現した和田さん。2022年のインタビューでは、“恩師”の石井監督から「茜色に焼かれる」で新人賞“3冠”に輝いたときに「2年後が危ない」と言われたことを明かしてて、今年がちょうどその2年後にあたる。和田さん自身は「多分、『調子に乗るなよ』って戒めの言葉で、初心を忘れず、注意深く、これからもこのお仕事に励んでいけたら」と受け取っていて、この先の成長がとても楽しみだ。