「キモい金なしおっさん」男性差別の実態…日本男性の25%、1500万人が弱者男性!「自業自得」「努力不足」と切り捨てられる
あなたは、「弱者男性」という言葉を知っているだろうか。弱者男性とは、貧困や障害など、弱者になる要素を備えた男性のことである。 「僕たちは、存在しないんです」 ある弱者男性は、そう語った。 なぜなら、自分が弱者だとアピールすれば「自業自得。自分が努力しない言い訳をしているだけ」とバッシングを浴びるからだ。男性は女性に比べて強い、だから弱者男性などいるわけがない。そういった言説が、ネットには溢れている。 だが、弱者になる理由は、本当にその男性だけに原因があるのだろうか。2024年4月24日発売の書籍『弱者男性1500万人時代』では、弱者男性について独自調査を多数実施し、弱者男性のリアルにエッセイストのトイアンナ氏が迫った。 ※本稿は『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)から抜粋・再構成しています。
推計で1500万人いるとされる弱者男性の実態
弱者男性は、 ・キモい ・汚い ・女性差別をしている といった目で見られる存在だった。 しかし、この世に女性差別があるように、男性への差別もある。小樽商科大学の池田真介教授による推計では、多重債務者の家族や宗教2世、性的マイノリティなどの「弱者になり得る男性」は、最大1500万人も存在しているという。なんと、男性の4人に1人が、今も生きづらさを抱えているのだ。
独身・貧困・障害といった「弱者になる要素」を備える
はじめに、「弱者男性」という言葉が生まれた時代背景に触れてみよう。急激な社会情勢の変化に伴い、一億総中流と言われた日本は過去の遺物となった。2018年のデータでは、日本人の6人に1人が世帯年収127万円以下の貧困状態にある。 なんと、100人に1人の日本人は、1日210円未満で暮らしている。弱者男性とは、こうした社会の荒波にまぎれ、インターネットから新たに誕生した言葉である。かれらは、日本社会のなかで独身・貧困・障害といった「弱者になる要素」を備えた男性たちだ。 ただし、年収○○万円以下といった数値で厳密に定義されているわけではない。弱者男性がネットスラングから誕生した言葉であるからには、数字で割り切れる定義を持たないのだ。