韓国の名優ソン・ガンホ初ドラマ作! ピョン・ヨハンら豪華な俳優たちとつむいだ重厚なドラマ「サムシクおじさん」:オンラインの森
韓国の名優ソン・ガンホが、57歳にして人生初のドラマに挑んだのはディズニープラスのオリジナルシリーズ「サムシクおじさん」(全16話)。1960年代の韓国を舞台に、激動の時代を生きた男たちの重厚な人間模様を描いている。 【動画】怪しさとえたいの知れない魅力 ソン・ガンホ演じる謎の政治フィクサー「サムシクおじさん」予告編
謎のフィクサーが野心あふれる青年(ピョン・ヨハン)と出会う
ソン・ガンホといえば、「JSA」「殺人の追憶」「グエムル-漢江の怪物-」「タクシー運転手 約束は海を越えて」と代表作を挙げたらきりがない、韓国の映画界で絶対的な地位を築いている俳優だ。ポン・ジュノ監督初の英語作品「スノーピアサー」、米アカデミー賞で作品賞を獲得した「パラサイト 半地下の家族」など韓国のみならず世界にその名を知られており、是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」では第75回カンヌ国際映画祭で韓国人初の男優賞を受賞した生粋の映画人なのである。 そんな映画一筋だったソン・ガンホが、初のドラマで演じたのは謎の政治フィクサー、パク・ドゥチル。戦争中も〝家族〟に毎日3食(サムシク)を与えたことから、〝サムシクおじさん〟の愛称で呼ばれている。 サムシクは政治家や有力者たちから頼まれた依頼を絶対に遂行し、貧しい者には食事やお金、時には仕事も与えるなど周囲からの信頼も厚い。しかし、深い縁がある国会議員カン・ソンミン(イ・ギュヒョン)からの要求がエスカレートしていることに難儀していた。そんななか、野心あふれる青年キム・サン(ピョン・ヨハン)と出会う。 「国を豊かにしたい」という心からの願いがこもったキム・サンの演説に感銘を受けたサムシクは、あの手この手でキム・サンを政治の世界へと勧誘。経済大国にするという夢のために奔走するキム・サンは、サムシクを怪しく思いながらも夢を実現するために彼と手を組むことに。しかし、計画への道のりは険しく、変革の時がやってくる。 ソン・ガンホは、サムシクを決して良い人として演じていない。サムシクは依頼や問題をお金や暴力で解決するし、誰にでも良い顔をする。笑っているのに笑っていない目からは本音が見えてこない。それでも、多くの人がサムシクに頼ってしまうのはなぜなのか……とキム・サンと同じように、視聴者もサムシクに引き込まれていく。怪しさとえたいの知れない魅力、この絶妙なさじ加減がソン・ガンホの真骨頂でもある。 第2話では、「ピザを食べたことがある」というサムシクを試すように、キム・サンが「ピザはどんな味か」と問いかける場面がある。サムシクのとぼけた反応と答えが秀逸で、緊張感がありつつも若干笑えるこの会話が後半で効いてくるのも見事だった。