【毎日書評】宇宙はまったく関係ない。自分を変える「マニフェステーション」の技術
私たちの多くは物心ついたころからずっと、なにか外側の力に、自分の問題を解決してもらいたいと願っている──。『スタンフォードの脳神経科学者が証明!科学がつきとめた「引き寄せの法則」』(ジェームズ・ドゥティ 著、桜田直美 訳、SBクリエイティブ)の著者はそう指摘しています。 たしかに思い当たるふしがあるのではないでしょうか。それは宝くじに当たることかもしれませんし、自分の願いがすべて叶えられることかもしれません。しかし、いずれにしても人は誰しも少なからず、そんな力を信じたいと思っていたわけです。著者もかつてはそうだったようです。現在は別としても。 いまのわたしは、神経科学者であり、医師でもあるので、そんな力に科学的な根拠はないということはよくわかっている。 とはいえ、人間の精神には不可能に思えるような変化を起こす力があり、それを裏づける科学的な証拠がたくさん存在するのも事実だ。この現象は「マニフェステーション(願望実現)」と呼ばれている。(「はじめに 願望実現についての本当の秘密」より) 著者が考える「マニフェステーション」とは、自分の意図(自分の本来の目的、本当の願望)を明確にし、それを潜在意識に埋め込むということ(ここでいう潜在意識とは、自分が自覚していることの下に隠れている意識を指すようです)。 意図が潜在意識に埋め込まれると、脳が「その意図は重要だ、価値がある」とみなしたり、その意図が自分のなかで大きくなったりし、その結果、目標達成をつかさどる脳の部位が活性化されるというのです。 具体的には、その意図(どんな意図でもかまわない)が脳内で意識されると、目標に集中する脳の部位がつねに活性化された状態になる。(「はじめに 願望実現についての本当の秘密」より) だからこそ著者は本書の冒頭で、「宇宙はあなたのことなどこれっぽっちも気にかけていない」と断言しているのです。本書のタイトルにもある「引き寄せの法則」においてはしばしば、宇宙との関係性が強調されることがあります。しかし科学的な視野で捉えた場合、それは説得力に欠けたものになってしまうわけです。 これはとても重要な指摘ではないでしょうか。そこで今回は、20ページに及ぶ「はじめに 願望実現についての本当の秘密」のなかから、さらに重要なポイントを抜き出してみたいと思います。