人材不足を解決する「スゴい技術」で日本のものづくりを支える「優良企業」の実名
連載【ものづくり・ニッポンの復活】(2)『iPhone にも活用「世界でもっとも平坦な製品」を作る日本のものづくり企業』はこちらから 【画像】トップ取材も敢行「日本のものづくり復活」を支える企業を一気に読む
工場で活用「非接触給電システム」
半導体の製造過程で大きな存在感を示す企業もある。それが製造や物流の現場で製品や荷物を動かすマテリアルハンドリング(マテハン)分野で世界トップクラスのダイフクだ。同社が研究開発した「非接触給電システム」は画期的だった。ダイフク先端技術部の内藤信吾氏がその開発の経緯を話す。 「工場や物流施設などで物を運ぶ搬送システムには、従来『接触給電システム』が用いられてきました。搬送するレールの側面に給電線を取り付けて、集電子を接触させて電気を送る方法です。しかし、これだと摩擦によって粉塵が発生し、場合によっては火花が生じる可能性が排除できません。そのため、定期的な清掃や部品交換などのメンテナンスが必要でした。 そこで新たな方法を研究した結果、たどり着いたのが『非接触給電システム』です。この方式を採用した搬送システム『ラムランHID』は、レールの側面に樹脂で被覆した給電線を2本取り付けるというもの。これによって粉塵や火花の発生をなくすことに成功しました。自動車工場から導入がスタートしましたが、食品や製薬工場、半導体製造工場においてもなくてはならない技術となっています」
人手不足を解決するために
半導体を製造する際にはわずかな不純物も取り除かなければならない。 「クリーンレベルは1立方メートルの空間に0.1μmのチリが何個あるかで示しますが、通常のオフィスですと10万個程度です。対して、最先端の半導体を作るクリーンルームでは1個以下にする必要があります。当然、何かが擦り合わされればアウト。最高レベルのクリーンさが求められる環境における移動体には、非接触給電方式以外考えられないのです。そのため、世界トップクラスの半導体メーカーに数多く導入されている搬送システム『クリーンウェイ』には非接触給電方式が採用されています。世界の半導体産業を陰で支えていることに誇りを持っています」 ダイフク広報部長の大岩明彦氏が言葉を継ぐ。 「様々なマテハンシステムを提供してきましたが、すべてに共通するのは省力化や自動化に貢献すること。現在、人手不足が問題となっていますが、こうした取り組みが今まで以上に求められています。我々が表に出ることはありませんが、我々の技術が日本経済の発展のためにまだまだ貢献できるとおもっています」 【ものづくり・ニッポンの復活】(4)『不要になると言われた祖業が最先端で活躍…会長が憂う「日本のものづくりの未来」』ヘ続く 「週刊現代」2024年5月18・25日合併号より
週刊現代(講談社)