北前船主の隆盛を象徴する「中村家住宅」 大規模改修を終え一般公開 南越前町河野
福井テレビ
地域の魅力を再発見する「小旅」のコーナー。今回は南越前町から、6年間の修復工事を経て、4月から一般公開されたばかりの国の重要文化財「中村家住宅」を紹介します。北前船主としての隆盛を象徴する造形や意匠を見ることができます。 越前海岸の南端に位置する南越前町河野(こうの)地区。北前船が栄えたかつての賑わいや歴史を残す「河野北前船主通り」に中村家住宅はあります。 中村家は、室町時代にこの地に移り住んだと伝えられていて、幕末から明治中期にかけては、同じ河野の北前船主である右近家と並ぶ「日本海五大船主」に挙げられる有力商人になりました。 中村家住宅は、明治中期から大正初期にかけて建てられました。2015年には「独特な屋敷構えと三階建て座敷を持つ大規模豪邸」と評価され、国の重要文化財に指定されました。 隆盛を象徴するポイントは至る所にあります。まずは玄関をくぐってすぐの台所。高い吹き抜けが特徴で、屋根付近には明り取りのための窓も。明るく開放的な空間には2カ所の井戸があり、機能性も備わっていて仕様人の家事仕事もはかどりそうです。 そして本座敷にも独自の趣向があります。一般的に、明るい庭側に設けられる床の間が、ここでは奥側に。これは本座敷の右手奥にあるお殿様が休む部屋「休息の間」を上手としたためとされています。ただ、この配置では庭から遠く、暗くなるため、隣りの廊下にわざわざ明り取り用の天窓を設けるほどのこだわりです。 そして外観上の大きな特徴なのが「三階建て座敷」です。「望楼座敷」と名づけられた三階部分は三方に窓が設置されていて、見晴らしは抜群。敦賀湾を見渡すことができ、かつてはここから 北前船の往来を眺めたといわれています。通常、望楼座敷に上がることはできませんが、管理する南越前町によると今後、特別公開を予定しており、日程が決まればホームページで公開するということです。 このほかにも当時の隆盛ぶりを表わす造形や美術工芸品も数多く、かつて日本の海運を支えた北前船のストーリーに触れることができます。
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