棋士編入試験に挑む西山朋佳女流三冠 第1局は寄せ切り勝利 第2局以降の差し回しに注目、平常心で指せるか楽しみな五番勝負
【勝負師たちの系譜】 西山朋佳女流三冠が、7月4日、朝日杯将棋オープン戦で阿部光瑠七段戦に勝って、公式戦13勝7敗となり、棋士編入試験挑戦の権利を得た。 【写真】東京の新将棋会館お披露目され、式典に登場した西山朋佳女流三冠ら 西山は午後の対局がまだあるのに、昼休みに事務局に行き、試験を受けることを表明したという。 前にも書いたが、棋士になるには奨励会で6級から上がっていき、三段リーグを抜けるのが普通のコース。 もう一つはアマ棋戦の成績上位者は、参加できるプロ棋戦がいくつかあり、公式戦で規定の成績を挙げれば、プロ棋士編入試験が受けられるという制度がある。 女流棋士も同じ制度が適用され、2年前に里見(現・福間)香奈女流五冠が試験を受けたが、残念ながら3連敗で失格となった。 さらにアマ戦の全国大会で優勝すると、三段リーグに入る試験を受けられる道があるが、三段リーグの厳しさはアマにも十分伝わっているらしく、こちらのコースを目指す人はほとんどいない。 西山は女流として2人目の挑戦者だが、福間以上に期待は大きい。 というのも西山は奨励会時代に三段リーグで、14勝4敗の成績を取ったことがあるからだ。 14勝は普通なら上がれる星で、1期で抜けた藤井聡太七冠でも、13勝だったのだ。しかも最後の相手は、西山だった。 西山は女流棋士一本に転じたが、いつか棋士になりたいという夢は諦めていなかったのだ。 試験は新四段の若い方から5人と指し、3勝すれば合格で、フリークラスの四段になれるというもの。 第1局は9月10日。相手はこの春四段になったばかりの高橋佑二郎四段(25)で、公式戦も6割を超えるスタートを切った俊英だ。 棋士の側は公式戦ではないが、負けると仲間に「大したことはないな」と思われるプレッシャーがある。 将棋は西山得意の三間飛車に対し、高橋は穴熊を見せた囲いから戦いが始まった。 高橋は手厚く指したつもりが、馬の活用法を誤って自陣が薄くなる展開を余儀なくされ、次第に西山の優勢がハッキリした。 終盤の切れ味に定評のある西山は、タダのところに角を打つ攻防の一手から、確実に寄せ切って、第1局を勝利した。