「アグリーファッション」なぜ人気? ファッション・トレンドの背景をアメリカZ世代が考察
◆ハイブランドもアグリーファッションを展開
コロナ禍のパンデミック前からずっとトップトレンドだった「アスレジャー」。シンプルなスポーツウェアを基本にした、洗練されたファッション・トレンドであり、アグリーファッションとは真逆の存在といえます。 最近は、普通のファッションに飽きて、もっと自分の個性を服で表現したい、目立ちたいという人が増えています。ラボメンバーたちは、アグリーファッションが注目を集める背景について考えました。 メアリー:たぶん、最近のファッション産業が大量生産で、ちょっと洗練されすぎていることと関係があるんだと思うな。 ミクア:でもね、実際にアグリーファッションがどこから来ているのかを見ると、実はすごく高価なブランドだったりするんだよね。そのスタイルのために高いお金を払っているのに、「この人はクレイジーだ。ゴミ箱から出てきたみたい」とか思われてしまう。 適当に組み合わせて着ているように見えるけど、よく見るとすごく高価なデザイナーズブランドだったりする。醜いものでも素敵なものでも、人は流行に従うということなんだと思う。たとえそれが馬鹿げていても、大勢の人々がそれを試して、流行が廃れて、別のものがそれに取って代わる。 ヒカル:10年くらい前だと思うけど、ダーティー・スニーカー、汚いスニーカーを履くトレンドもあったよね? たまにファッション業界全体が、新しくて綺麗なものに抗うような風潮があるんじゃないかな? ラボメンバーの発言にもあるように、大量生産の服は画一的なだけでなく、サステナビリティという意味でも敬遠する人が増えています。つまり、従来のファッション産業への反抗がアグリーファッションにつながっている可能性が考えられます。 皮肉なのは、ハイブランドがアグリーだと感じるファッションアイテムを展開していることです。今や大半の人は大量生産の服か、ビンテージ服を買います。ハイブランドが生き残るためには、奇抜で高いものを着て差をつけたいという人に向けて作るのが戦略となります。「アグリーファッションは反抗的なようでいて、ファッション業界に取り込まれているというのが現実かもしれません」とシェリー。 「流行は繰り返す」という言葉通り、ヒカルが言っていたダーティー・スニーカーもリバイバルしています。新品なのに汚れて見えるゴールデン・グースは10年ほど前に大流行しましたが、今もまた人気を集めています。「ちなみにお値段は一足565ドル(日本円で約8万円)です。汚れたスニーカーに8万円を出す人がいるんですね」とシェリーは話し、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年9月11日(水)放送より)