中国・廃棄されていた寒冷エネルギーを海産物の養殖に活用
【東方新報】持続可能なエネルギー利用における革新的な試みとして、中国は液化天然ガスステーションから発生する寒冷な副産物を利用し、水産物の養殖場を繁盛させ、コールドエネルギーを養殖の生命線に変え、グリーンテクノロジーの限界を押し広げようとしている。 中国海洋石油集団(CNOOC)が主導するこの取り組みは、LNGの再ガス化過程で発生する極寒の温度を利用し、冷水性の海洋生物にとって最適な条件を提供するものだ。この最先端の方法は、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)の中国最大級の「広東大鵬(Dapeng)LNGターミナル」で試験的に実施されており、いずれLNGターミナルの多い他の沿岸省にも拡大される見込みだ。 同集団は、LNGの気化・配送時に発生する大量の低温エネルギーを海に放出する代わりに、ターミナル内で養殖に利用することを決定した。かつては廃棄されていたものを貴重な資源に変えた。水産物の養殖能力を向上させると同時にエネルギーの無駄を削減するというダブルの効果をあげるものだ。 養殖場では、ターミナル内で冷却された海水を使って、合計1000キログラムのマダイやロブスターなどが養殖され、まるで海洋水族館のようだ。検査の結果、養殖されている水産物は様々な生理学的指標を満たしているという。 副産物の革新的な利用法で廃棄物を減らすという中国のエネルギー・環境部門における大きな試みの一つあるこの取組みは、同様のLNG施設を持つ他の国々にとっての先例となり、世界の養殖業に革命をもたらす可能性がある。 進化するエネルギー経済環境の分析を手掛ける「ブルームバーグNEF( Bloomberg New Energy Finance)」のアナリストは「低温エネルギーはこれまで、低温発電や冷蔵貯蔵noの分野で使われてきたが、CNOOCは水産物の養殖を初めて開始し、中国のLNG産業における近代的な『海洋牧場』の建設に新たな一歩を踏み出した」と述べる。 「LNGの再ガス化の過程で、かなりの量の寒冷エネルギーが浪費されることが多かった。もし適切に利用されれば、エネルギー効率を大幅に高め、排出量を削減することができる。CNOOCの革新的なアプローチは、LNGの寒冷エネルギーの活用で、水産物養殖業業界に革命を起こすことができそうだ」と高く評価している。 CNOOCによると、この養殖実験では、ハタやマダイなどの高級魚種やエビ、カニ、ナマコなどの魚介類に焦点を当てているという。年間生産量は10万キログラムに達する見込みだ。養殖に寒冷エネルギーを使うことで、従来の養殖に比べ、全体のコストを30パーセント削減できると期待されている。 「深セン市水産業協会種苗分会」の曹躍明(Cao Yueming)秘書長も「水産物の養殖では、水温の管理が主要なコスト要因です。このプロジェクトは大きな経済効果をもたらし、経費の大幅な削減に寄与すると期待できます」と話している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。