モルモットの寿命4~6年…小さな命と向き合った福井の小学生たちの変化【ペットドクター相談室】
今回は、いつも質問に答えている獣医師達の別の活動についてご紹介したいと思います。 福井県獣医師会 開業部会 わかさ動物病院(福井県小浜市) 泉本桂子獣医師 ◆ ◇ ◆ 福井県獣医師会には、小動物臨床施設で働いている獣医師、畜産業に携わっている獣医師、公衆衛生業務や食の安全を担っている獣医師などが所属しています。この福井県獣医師会で行っている活動の一つに「学校で飼育している動物達の飼育補助、および治療」というものがあります。 現在学校で飼育されている動物は年々減少しておりますが、学校で飼育している動物達の治療はすべて無料で行っています。また、飼育してみたいけれどどう始めたらいいのか分からない、など悩んでいる学校向けに「学校飼育動物モデル事業」というものも行っています。これは、動物の飼育開始から獣医師がかかわり学校へ動物を連れていく事から始まり、飼育全般に関わる全ての事や費用を獣医師会がお手伝いをするというものです。 県内では、今までに終了したものも含め34校がこのモデル事業で動物飼育を体験しています。今現在継続中の学校は5校です。モルモットの寿命は約4年から6年。小学校に入学した子が卒業するまでの期間とほぼ同じです。動物の誕生から亡くなるまでの期間を子ども達が小さな命に触れ合いながら過ごすことができるのです。 モデル校になった小学校へは年に数回獣医師が数名で訪問しています。飼育対象学年は各学校へお任せしていますが、学習指導要領生活科には「動物の継続飼育」があるため2年生が多いようです。モルモットを連れて行くと騒がしかった教室も怖がりなモルモットを怖がらせないように、と子ども達がとても静かになります。 飼育の後半になると自分たちの飼育しているモルモットの事を自信満々で話したり、扱い方も上手になり、おしりを支えてしっかり抱っこできるようになっている子が多くなっています。生き物ですので具合が悪くなればもちろん治療も必要になりますが、その際は各学校の担当獣医師が治療を受け持ちます。治療中のモルモットを想って、たくさんのメッセージが子ども達から届いたり回復して元気になって学校へお返しする時の子ども達の喜ぶ姿には感動します。 また、私達が推奨する学校飼育動物は児童とともに過ごす教室内飼育であり、休日の給餌を含むお世話は児童が自宅に持っていき家族全員でお世話するホームステイなどで対応いただいており、これは家族の方からの評判も良いです。学校の先生方のフォローも素晴らしく、小さな命を通じ子ども達が他を思いやる姿を活動を通じ感じています。 そして、本年度もモデル校の募集をしたところ、新たに1校から永年飼育の応募がありました。小さな命を通じて多くの笑顔がたくさん増える活動を今後も私達獣医師会は支援し続けています。詳しくは福井県獣医師会のホームページに載っていますので、ぜひご覧ください。 × × × 「ペットドクター相談室」は、ペットの悩み事や疑問、不安をネット上で募り、福井県内の獣医師が回答するコーナーです。県内35の動物病院が所属する福井県獣医師会で、小動物の診療に携わる「開業部会」の獣医師が回答します。
福井新聞社