「数時間で17万円が…」“スマホ乗っ取り”被害の市議会議員が指摘…携帯ショップ・信販会社「本人確認」の穴
わずか数時間で17万円の被害
知らぬ間に携帯電話を機種変更された挙げ句、わずか数時間の間に計17万円ほどの被害を受けた松田市議。だが被害はそれだけに止まらないことが翌5月1日に判明する……。 「私が携帯電話を停止している最中に犯人がyahoo!ショッピングで225万円ものロレックスをローンで購入していたことに気付いたんです。ロレックスを購入していたのも機種変更をされたのと同じく名古屋市内でした」 17万円の被害のほかに225万円もの被害を受けていたことが分かり、松田市議はすぐさま信販会社に連絡。すると、会社側の当初の対応は〝もう契約が成立していますので〟とにべもなかったという。 「納得できないので、『そんな契約はありえない、裁判になっても勝てる』などと抗議すると、信販会社側が速達で支払い停止の抗弁書を送ってくれたので、なんとか被害は免れました。ソフトバンクカードの被害も〝不正行為とみなしています〟と会社側から連絡があり、支払わずに済みました。PayPay(ペイペイ)に関してもすでに先方には申告しているので対応はしてくれると思います」 いまになれば、被害を受ける約1週間前から非通知の携帯から何度も電話があったと松田市議は振り返る。
マイナンバーカードの確認は「視認のみ」のゆるさ
「犯人は恐らく、ソフトバンク特有の着信の際の音でキャリアを確認していたのだと思います。名古屋でローンで購入された時計は東京の店舗で受け取られていることからも犯人は単独ではないと思います。今回はなんとか被害は免れましたが、自分の預かり知らぬところで偽造したカードを悪用され被害を受ける可能性は誰にでも起こり、自分では防ぎようがありません。携帯キャリア、信販会社には本人確認を二重三重に厳格に行っていただきたいと思います」 松田市議が指摘するように今回、犯人が本人確認に使用した偽造マイナンバーカードはショップ店員による「視認のみ」の確認で、容易に突破されている。 この点についてソフトバンクも9日の決算会見で、宮川潤一社長兼CEO最高経営責任者(CEO)が「現状はマイナンバーカードの原本確認と本人確認を行うのが店舗でのオペレーション」と説明したうえで、「一部店舗でそのプロセスが不十分だった」と不備を認めている。 マイナンバーカードの場合、機器を使ったICチップ読み取りによる確認も可能なだけに、それがされないとなれば、店舗等での本人確認はザルに近いといっていい。 近年では中国版〝闇バイト〟の掲示板などに応募し、指示役から送られてきたプリンターと個人情報をもとに、マイナンバーや在留許可証などを偽造する犯罪が相次いでいる。松田市議が訴えるように、携帯会社や信販会社にはさらなる厳格な身元確認が求められているのではないだろうか。
弁護士JP編集部