「思い出に残る食事を」 パリ選手村担当のラモットさん―食にもこだわるパリ五輪(上)
フランスとパリらしさを存分に感じさせる料理の数々―。 パリ五輪の選手村のメインレストランは、もともと発電所や映画スタジオとして使われた建物を改装した。ソデクソ・ライブ社の選手村副ディレクター、エステル・ラモットさんは「この素晴らしいスペースを世界最大級のレストランに変えた」と自信を見せる。 【写真】パリ五輪・パラリンピックの選手村のレストランとなる建物 24時間営業のレストランは3500席を完備。メニューは550種類に上り、料理はフランス、アジア、アフリカ・カリブ海など大きく四つのカテゴリーに分かれている。 当然、フランス料理には力が入っている。伝統的な煮込み料理やオニオンスープといった定番に加え、「フレンチガストロノミー」と呼ばれる特別メニューが用意された。三つ星レストランの有名シェフたちが大会のために考案したものだ。 ラモットさんはその意図をこう説明する。「選手たちは普通のオファーでも満足するでしょう。しかし、これはパリで開催される大会であり、期待もある。選手たちにとっては人生で一度だけの経験です。思い出に残るものにしたかった」 協力した3人の有名シェフはそれぞれ持ち味が違う。「シェフを選ぶにあたり、大きく異なるスタイルを持っていることを重視した」とラモットさん。完成した料理は、それぞれの強みを生かした独創的なものになった。 パンへのこだわりもフランスらしい。レストランに焼きたてを味わえるように工房も備えられている。「バゲットは言うまでもなくフランス文化の象徴的な食べ物。焼きたてを提供できる場所があれば、より素晴らしいと感じた」。選手たちが自ら生地をこねて焼く、バゲット作り体験もできるという。 環境への配慮も重視し、二酸化炭素の排出量やフードロスを削減できるようメニューや物流に工夫を加えた。世界最大級のレストランは開幕2週間前の7月12日に開店予定。「アスリートたちがどんな反応をするのかを楽しみにしている」とラモットさんは期待する。