「システム大移動」遅れ続出、自治体の本音と悲鳴 「コストは膨張」「クラウド実質選べない」現実も
A 政府はクラウド事業者と一括契約することによって割り勘効果が働き、利用料が安くなると説明しているが、その点について私は懐疑的だ。 現状、われわれの試算や、先行自治体の状況を見ても、コストのメリットがまだ見えてこない。クラウドに接続する回線などの経費もかかるので、簡単に3割減という効果は出せない。予算に関わり、議会も気にするところだ。 C 同感だ。本来であれば、クラウドを共同で使うことによるコストメリットが期待されるものの、クラウドの利用環境がドル建てで、円安などの影響で当初想定よりも高くなるとの話も聞いている。
B うちの町の試算では、むしろ現在よりも大幅に費用が高くなってしまう見込みとなっている。ランニングコストは、現在の3~4倍かかるとの試算だ。 政府が法律で決めてしまったのでやらざるをえないが、これだけ高くなるならはっきり言って何のためにやるかわからない。 ――標準システムに移行した先で、クラウドサービスはどう選びますか。昨年11月、ガバメントクラウドの提供事業者として、AWS(アマゾン ウェブ サービス)など外資系4社以外で、さくらインターネットが初の国内事業者として条件付きで採択されました。
C クラウドについては基本的に、ベンダーのほうから「ここを使わせてほしい」というような話が結構ある。本来は自治体側で選べるのが望ましいが、そこで問題なければそれでいいかなとも思う。最終的に、外資系になりそうな気はしている。 E 自治体に裁量権がないのは、まさしくその通りだ。 今のベンダーは、「このクラウドでいきます」と話を持ってくることが多い。個人情報を海外の業者に渡すのはリスキーだし、さくらのような国内のクラウドは大事だと考えるが、ベンダーに「このクラウドでやってほしい」と頼んでも、向こうも人手不足で困るという話になる。もう少し期限に余裕があれば、選択できる余地も出てくるのではないか。