菓子で古典に誘う 春木屋が源氏物語「帚木」にちなんだ新商品発売【長野県阿智村】
長野県阿智村駒場の御菓子処「春木屋本店栄松庵」(佐々木千春社長)は、源氏物語の第二帖「帚木(ははきぎ)の巻」にちなんだ和菓子「ははきぎ乃」を開発し、17日から販売を始めた。「ははきぎの心」をテーマに3種類の菓子で物語や阿智村の帚木を表現している。 阿智村の園原地区には帚木の巻の由来となったとされるヒノキの古木「帚木」が残る。NHK大河ドラマ「光る君へ」放映に合わせ、村の帚木を多くの人に知ってもらおうと熊谷秀樹村長が同店に新商品開発を提案した。 帚木の巻では光源氏と空蝉(うつせみ)の逢瀬が描かれている。佐々木社長は物語をきちんと理解し商品に反映させようと、物語を読み込み勉強した。 府焼きのみそ煎餅、打ち物(干菓子の一種、落雁)、州浜(すはま)で3種の菓子を開発。府焼きは表面に抹茶の蜜を刷り、都から遠く離れた山の中の園原を表現した。裏面には結び紋を印字し、恋文を表した。打ち物には5本線を入れ、源氏香の帚木を形どった。 州浜はクルミを使い帚木の草木をイメージした。白い和三盆をまぶすことで、光源氏が二度目に会いに行った際に空蝉が残した薄衣を表した。 佐々木社長は「帚木の巻は、光源氏の栄枯盛衰を示唆する重要な部分で、空蝉の芯の強さも伝わってくる」とし「菓子で登場人物の心に思いをはせ、古典を感じながら味わってもらえたら」と話している。 府焼きせんべいは8枚入りは税込み1150円。3種のセットは1560円。