年齢にとらわれず賢くお金を管理する方法
30歳を迎える頃には、お金に関して一定の目標を達成しなければならないという社会的なプレッシャーを多少感じていることでしょう。 「給料1年分を貯金する」「借金を完済する」「高いクレジットスコアを持つ」などです。 どの年齢にあってもファイナンシャル・プランを立てるのは良いことですが、お金の基準を30歳に固定するのは全く場当たり的です。 年齢をベースにしたお金の目標に縛られるべきではない理由と、その代わりに重視するべきことを考えてみましょう。
ファイナンスは万能ではない
パーソナル・ファイナンスは個人的であり、個々の状況によって異なります。給料日ごとにかつかつでやり繰りする生活をしている人が、世代を超えて受け継いだ資産で裕福に暮らしている友人と自分を比べるべきではありません。 人生の新たな10年を迎えたということだけを基準に、それまでに投資や退職金口座の額がいくらになっているべきだったか、ということに普遍的な基準は存在しません。他の人には役立つ優先順位も、自分にとっては現実的な意味をなさないかもしれないのです。 例えば、大学を卒業してすぐに学生ローンを積極的に返済することは、工学の学位を取得した友人にとっては理にかなうものだったでしょう。 しかし、クレジットカードでAPR(年率)20%の借金がある場合は、それよりも金利の低い教育ローンに急いで対応する前に、まずはクレジットカードへの支払いに振り向ける金額を増やすのがおそらく最善です。 同様に、30歳までに収入の1年分にあたる貯蓄があるべきだという目安は、大学卒業後に実家暮らしをして貯蓄をより早く増やした人や、転職したために収入がリセットされた人には合わない場合もあります。
自分に合わせて立てるべきお金に関する目標
無作為に年齢を目標にするよりも重要なのは、金融「リテラシー」を高め続けることです。誰にでも当てはまるパーソナル・ファイナンスの「ルール」は存在しませんが、自分自身に課してみるといい一定の基準はあります。 20歳、25歳、30歳、そしてそれ以降に実行するべき主なファイナンシャル・プランをご紹介します。 支出を記録してお金の行き先を把握する 大きなお金の話はわからなくても、自分のお金については少なくとも理解しておくべきです。毎月の収入と支出を記録し、キャッシュフローを明確に把握しましょう。 使っていないサブスクをやめる、外食を控えるなど、節約できる部分を探しましょう。自分の支出チェックを行うためのガイドはこちらです。 生活防衛資金をつくる 以前にもアドバイスしましたが、一般的な経験則として、生活防衛資金は生活費の6カ月分を目安にしましょう。この数字を計算する際には、住居費、食費、光熱費、保険料、交通費、借金の返済額などを考慮に入れます。 休暇、娯楽、外食など、必要不可欠でない出費は「生活防衛」用の計算には入れません。 生活防衛資金は、医療費や車の修理などの問題に対応できるよう、簡単にアクセスできる普通預金口座(つまり退職金専用口座ではない口座)に入れるべきでしょう。 借金の返済 お金のやり繰りを悪化させる最大の要因のひとつといえば、借金です。 借金を恐れるあまり、借金の返済計画を立てるのをやめてはいけません。 きちんと借金から抜け出すための方法はこちらでご紹介しています。手はじめに、金利別に借金をリストアップし、最低限支払えるものは支払い、余剰資金は一番金利の高い借金(返済)に回しましょう。 繰り返しになりますが、ここで大切なのは、今はとても小さなステップを踏む余裕しかないとしても、少なくとも計画を立てることです。 退職後のための貯金をはじめる 30代には、退職は永遠に先のことのように思えるかもしれませんが、今から貯蓄を始めることが重要です。雇用主から受けられる401(k)へのマッチング拠出を最大限に活用しましょう。Roth IRAを開設して職場の退職金口座を補完しましょう。退職金計算を使ってどれくらいの貯蓄が必要か調べましょう。 ただし、繰り返しですが、魔法の数字は存在しません。年齢に関係なく、初期投資が少額であっても複利を活かすことはできます。重要なのは、「できるだけ早く」貯蓄と投資をはじめることです。 生活状況の変化に応じて保険の必要性を考え直すこと 万事順調だと感じているときには、保険は不要なものに感じられます。 しかし、健康保険、自動車保険、家財保険や住宅所有者保険、障害保険、生命保険などは、めったに使うことはないだろうと思っていても、必要になったときにはかけがえのないものです。 必要となる可能性が高いものに加えてさまざまな種類をここで紹介していますが、中には絶対に不可欠なものもあります。
結論
お金にまつわる状況は人それぞれです。経済的な大成功という誤った理想を追い求めるのではなく、自分の状況に応じ、お金について十分な情報に基づいた判断を下すことで、先を見越した行動が取れるようにしましょう。 本当に必要なのは、適切に判断し続けるこができるよう、金融リテラシーを身につけることです。 継続的に貯蓄すること、経済状態に関する目標に向けて努力し続けることが、無作為に決められた純資産の額よりも重要です。このレースにゴールはないのです。
白井樹(OCiETe)