「役立たずのブタ!」社会現象をも引き起こしたキング・オブ・昼ドラ『牡丹と薔薇』はどんなだった?
■「裏切り」や「怨念」など過激なタイトルもドロドロのオンパレード
『牡丹と薔薇』は、愛憎渦巻くキング・オブ・昼ドラというべく、毎回激しい内容で話題になった。 まず、回ごとのタイトルが凄まじい。例を挙げると、第7話は「怨念の遺書...」、第9話は「疑惑のミルク缶」、第13話「裏切りの情事」、第32話「嫉妬の小悪魔」……など、よくもまあこんなドロドロとしたタイトルを思いつくものだと感心してしまう。 そしてタイトルに負けない劇的なドラマ展開もすさまじい。たとえば、第39話「延期された結婚」では香世が男たちに依頼し、ぼたんを襲撃させる。それを知った父・豊樹は怒って香世を殴りつけ、さらにぼたんの義父である友重も登場。包丁をふりかざして香世に襲いかかるのだが、香世を守ろうとしたぼたんが飛び出し刺されてしまうのだ。 このように本作は、悲惨な展開→激高した人物が襲い掛かる→それをかばった人が病院へ運びこまれるなど、1話のなかでも怒涛の熱い展開が続く。 今日は誰がどうなっていくのかが気になり、1度見たら次の日も欠かさず見てしまうようなドラマだったのである。
■香世が言い放つ強烈なセリフは社会現象にもなった
『牡丹と薔薇』を一躍有名にしたのは、小沢さん演じる香世による強烈なイジメだろう。家政婦として野島家にやってきたぼたんに対し、香世はやりたい放題。目の前に足を突き出して「ストッキングを脱がせなさいって言ってるの!」と叫んだり、いやがるぼたんの頬を赤いマニキュアを塗った長い爪で思い切りつねったり……。 極めつけは第22話「意地悪なバラ」でのこと。自分の要望とは異なるドレスを持ってくるぼたんに対し「役たたずのブタ! ぼたんじゃなくてブタよ!」と、言い放つのであった。 この強烈なセリフは当時社会現象にもなり、「ボタバラ旋風」を引き起こした。演じていた小沢さんも、のちに一番印象に残っているセリフだったと明かしている。 また『牡丹と薔薇』に登場する伝説的なメニュー「財布ステーキ」も忘れられない。これは、香世が西村和彦さん演じる夫・由岐雄の浮気に嫉妬して提供したものである。 一見美味しそうなステーキに見えるものの、なぜかナイフでは切れない。恐ろしいBGMとともにステーキの内側から登場したのは、なんと“高級牛革3000円”のタグであった。「なんなんだこれは!」と怒る由岐雄に対し、香世は「あっ、コショウが足りなかったかしら?」と、おどけてみせる……これもひたすら怖かった。 本作を語るうえで、香世の強烈すぎるこのような言動は外せないものだろう。時が経った今でも、香世は昼ドラの伝説的キャラクターとして名を馳せている。 ドロドロ展開の昼ドラ代表作品といえる『牡丹と薔薇』。あまりにも現実とはかけ離れているストーリーだが、ドラマだからこそ非日常を楽しめるのが面白いと言えるだろう。 当時、強烈なインパクトを残し社会現象も起こした本作。時を経て2015年には『新・牡丹と薔薇』が「姿形を変え完全無欠の愛憎劇」として再登場。またも昼ドラで放送された。 ちなみにこちらのドラマでも、本家で活躍した大河内さん、小沢さん、西村さんがゲスト出演している。気になる人はぜひチェックしてみてほしい。
でかいペンギン