【オリックス】一昨年の尻キック、昨年のヘッドロックに続き「今年は無視でした…」劇打の22歳を中嶋監督流の祝福
◆パ・リーグ オリックス2×―1楽天(11日・京セラドーム大阪) オリックス・紅林弘太郎内野手(22)は物足りなさそうだった。9回1死一塁、右中間を破る二塁打で試合を決めた直後だ。チームは今季初、自身にとっては3年連続3度目のサヨナラ打。一昨年の尻キック、昨年のヘッドロックに続く、中嶋監督による祝福は「今年は無視でした…」だった。 試合前の時点で打率1割2分9厘。「例年のごとく低空飛行で。小言をめちゃくちゃ言いたくなる選手」と中嶋監督も我慢との戦いだった。目標だった3番での出場はゼロ。この日は8番だった。「去年みたいに(ファーム施設の)舞洲に行くか?」と刺激した指揮官をはじめ、誰からもかわいがられる性格の持ち主。勝敗を左右する場面で先輩の言葉を思い出した。 「打たないと、と思うより、楽に考えた方がいい。自分を楽に」。3月のオープン戦で、西川にチャンスでの心構えを聞いた。広島から新加入した天才打者の答えはシンプルだった。「次(の打者)につなげるぐらいの気持ちでいきました」と肩の力を抜き、最後は西垣の151キロを振り抜いた。 一昨年に栄養士から指導を受け、知識を蓄えるようにした。日頃はたんぱく質中心の食事を徹底し、好きなものを自由に食べるチートデーでは月に1度だけ。この時だけはラーメン、チャーハン、ピザなどを爆食いするというが、高い意識は同じ高卒5年目の新エース・宮城と双璧レベルだ。 楽天3連戦は、すべて1点差ゲームだった。開幕4カード目で初めて勝ち越しを決め、最下位脱出。中嶋監督も「まあまあかな。きょう“は”、よくやりました」とちょっとだけ孝行息子を褒めた。侍ジャパンも経験した正遊撃手が持つ決定力。しびれる舞台が良く似合う。(長田 亨) ◆オリックス・紅林のサヨナラ打 ▽22年4月21日 ソフトバンク戦(京セラD)の延長11回2死二塁、モイネロから左前にプロ初のサヨナラ打。ベンチ前では、中嶋監督から尻へのハイキックで“祝福”された。5回に悪送球、9回に二塁をオーバーランして走塁死していたため「今から怒られると思います」と苦笑い。 ▽23年5月24日 楽天戦(ほっと神戸)の9回1死一塁、松井裕から左越えに逆転2ラン。62年矢野清の21歳9か月を更新する、球団史上最年少21歳3か月のサヨナラ弾に、中嶋監督からヘッドロックで“称賛”された。「他の選手なら抱きつくんですけど…。でも、愛を感じました」
報知新聞社