30代会社員です。子どもが生まれたのでマイホームの購入を考えています。自己資金はどのくらい、どのように準備したらよいでしょうか?
購入資金の全部を住宅ローンで借りることもできますが、借入額が多いと金融機関の審査も厳しくなりますし、返済の負担も増えます。自己資金(頭金・諸費用)の目安や準備の方法について解説します。 ▼がんの発覚で「住宅ローン」がチャラに!? その驚きの理由を解説
自己資金の目安
自己資金が多ければ借入額を少なくできますし、少なければ借入額が多くなり、家計の負担が増えます。 国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」を見ると、一次取得者の購入資金は、 ・注文住宅(土地購入資金も含む)が5527万円(自己資金1080万円+借入金4447万円) ・分譲戸建住宅が4183万円(自己資金1023万円+借入金3160万円) ・分譲集合住宅が4527万円(自己資金1857万円+借入金2670万円) ・中古戸建住宅が2871万円(自己資金1164万円)+借入金1707万円) ・中古集合住宅が2648万円(自己資金1132万円+借入金1516円) となっています。 このデータから、自己資金の目安は1000万円程度が多いようです。自己資本比率で見ると住宅の種類により、購入資金の20~40%となっています。
諸費用も確認しよう
住宅を購入するときには、住宅の購入価格のほかに各種の諸費用を支払います。諸費用ローンもありますが、通常は現金で支払います。具体的には、契約時の印紙税や登録免許税、司法書士報酬などの登記費用、住宅ローン借入費用(印紙税などの税金や融資事務手数料、保険料など)が挙げられます。 これらの諸費用が総額いくらかかるのかの目安は、新築マンションの場合で物件価格の2~5%前後、建売住宅や中古住宅は同じく5~8%前後、注文住宅は土地・建物の総額の10~12%程度とされています。 このほか、引っ越し代や家電・家具購入費なども必要になります。
自己資金の準備の方法
自己資金を準備する方法としてコツコツ貯蓄する方法と、親の援助を受ける方法があります。コツコツ準備する方法として「財形住宅貯蓄」、親から援助を受ける方法として「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を紹介します。 「財形住宅貯蓄」 財形住宅貯蓄とは、満55歳未満の従業員が会社の協力を得て、給与から5年以上一定額を天引きして行う、住宅資金のための積立貯蓄です。 元本550万円までの利子等について所得税が非課税になります。ただし、目的外の払い出しが行われた場合には、原則として、5年間さかのぼって課税されます。 なお、財形貯蓄制度を利用している人は、「財形住宅融資」で住宅ローンの借り入れができます。金利面で優遇されるといったメリットがあります。 「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、親などの直系尊属から18歳以上の子どもなどがマイホームの取得に充てるための金銭の贈与を受けて、翌年3月31日までに新築等を行い居住した場合には、贈与を受けた金銭について一定額まで贈与税が非課税になる制度です。 令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に受けた贈与については、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。 ただし、この非課税制度を利用する場合、納税額が0であっても贈与税の申告が必要ですので注意してください。 出典 国土交通省 住宅選択にあたり「希望順位が最も高かった住宅の種類、妥協したもの」などについて新たに調査しました! ~令和5年度住宅市場動向調査の結果をとりまとめ~ 住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調査 国税庁 No.1316 財形住宅貯蓄 独立行政法人勤労者退職金共済機構 財形住宅貯蓄 国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 執筆者:新美昌也 ファイナンシャル・プランナー。
ファイナンシャルフィールド編集部