中国人民銀、口先で長期国債の上昇抑制図る-反落の恐れと当局者指摘
(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)は長期国債の相場上昇を口先で抑制する取り組みを強めた。反落の可能性を指摘するとともに、市場価格と経済見通しのずれが今後修正されると示唆した。
人民銀系の金融時報は中銀内の関連部署に属する匿名の当局者とのインタビューを引用し、人民銀は中国の長期的な成長の展望について楽観しており、利回りは「こうした経済見通しに合致する妥当なレンジ内に収まるだろう」と伝えた。需給関係によって現在は一時的に逸脱している状態だと説明した。
歯止めのかからない利回り低下に当局が不快感を募らせていることを示す兆候がこのところみられていた。規制当局はさまざまな措置を通じて長期国債の相場上昇を抑制する取り組みを強めているが、利回りは約20年前に記録した過去最低水準を試す勢いだ。
中国当局のハト派的な金融政策や国内金融機関の安全資産需要、債券の供給不足などさまざまな要因を背景に投資家は国債に資金を投じている。中国国債のパフォーマンスはここ3カ月、世界の主要国債を上回っており、10年債と30年債の利回りは現在、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を下回る異例の低水準にある。
債券市場における資金調達コストの低下は政府を含む発行体に恩恵をもたらす可能性がある一方で、債券の強気派には裏目に出る恐れがある。匿名の人民銀当局者は米SVBファイナンシャル・グループのケースに言及。同グループは昨年、米長期国債への多額の投資が米利上げによって圧迫され、流動性危機に陥って連邦破産法11条の適用を申請した。
同当局者は投資家は金利リスクをしっかりと認識すべきであり、特にレバレッジを効かせて、長期債を大量に保有する投資家はボラティリティーが上昇する局面でより大きな損失を被る恐れがあると述べた。
また、銀行や保険会社は、資金調達コストが上昇し始めるとリターンでカバーできなくなる可能性があるため、過度に低い利回りの長期債に多額の資金を固定させるのは避けるべきだと指摘した。