Tempalayが探索船『武道艦』で惑星Xを目指す 初の武道館公演オフィシャルレポート
ここでermhoiと和久井と入れ替わる形でAAAMYYYがステージに戻り、メンバー(やその家族)を紹介して、「ここからは撮影自由です」と告げられると、AAAMYYYの歌から始まる「預言者」では一斉にスマホが掲げられる。すると、その光景を預言していたかのように、スクリーンには無数のスマホで撮影されたような断片的な映像が映し出され、こうしたメディアアート的な試みも実に楽しい。青い照明が文字通り深海のような雰囲気を作り出した「深海より」から「革命前夜」で再びギアを上げると、藤本のドラムソロから「SONIC WAVE」で小原のギターがうなり、フロアからは大合唱が起こる。〈新しい音ほしいでしょ〉と歌われた「新世代」は、今ではすっかり世代を代表するバンドの音になり、なんとも感慨深い思いだ。 最後のMCで小原はPERIMETRONへの感謝を伝え、「好きも嫌いも行くところまで行きまして、愛憎っちゅう言葉が一番しっくり来る10年だったと思います。これからもやめるまでやろうと思っておりますので、今後ともTempalayをよろしくお願いします」と話し、「今日までの期間マジで楽しかったな。合宿してるみたいな感じで、色々思い出したりして……やめなくてよかったなと思いました」という言葉に大きな拍手と歓声が起こる。その後の「愛憎しい」のラストでは小原が「ありがとう!」と絶叫し、そのまま「NEHAN」から「ドライブ・マイ・イデア」でもう一度熱狂的な盛り上がりを作り出すと、Tempalayの楽曲の中でも最も美しさが際立つ「そなちね」で本編が締めくくられた。 本編のみですでに2時間以上の濃密な時間が刻まれたが、アンコールではさらに特別な瞬間が待っていた。メンバーとともにermhoiと和久井、そして10人のゴスペルコーラス隊が登場し、厚みのある歌声とともに演奏されたのは「続・New York City」。曲中にはサックスの小西遼も加わって、Tempalayのライブで身震いするような多幸感を感じたのはこれが初めて。10年という時を経て、こんなビューティフルなデイが待っているとは。そして、最後に全員で演奏されたのは「Last Dance」。スタッフロールが流れる中、爆音をかき鳴らすバンドの演奏からは地球最後の日のような全能感が確かに感じられ、メモリアルな一夜を締めくくるに相応しい感動的なエンディングとなった。 Text:金子厚武 <公演情報> 『惑星X』 2024年10月3日 東京・日本武道館 【セットリスト】 のめりこめ、震えろ。 人造インゲン 続・Austin Town とん ああ迷路 未知との遭遇 my name is GREENMAN Booorn!! どうしよう Festival カンガルーも考えている 大東京万博 今世紀最大の夢 脱衣麻雀 シンゴ EDEN GHOST WORLD 預言者 深海より 革命前夜 SONIC WAVE 新世代 愛憎しい NEHAN ドライブ・マイ・イデア そなちね <アンコール> 続・New York City Last Dance