東京発祥といわれるカレーうどんが、なぜ「名古屋めし」に? 名古屋の人気カレーうどん店「若鯱家」のトロトロスープの秘密に迫る!
創業者が直談判!? こだわりは「具材」にも
スープだけでなく、具材にもこだわりがあります。使用するのは、創業124年の老舗精肉店「スギモト」から仕入れている「豚のうで肉」。よく使う筋肉なので、味わい深く、ほどよい脂もあるのだとか。若鯱家の創業者・高橋靖裕さんがスギモト本店に赴き、「おいしい豚肉はないか?」と直談判したことがきっかけだそうです。 100年以上続く老舗の豆腐専門店「くすむら」の工場で製造した油揚げも、創業者が自ら選んだこだわりの逸品。油揚げの生地を作るための豆腐は、愛知県産のフクユタカという大豆を使用。豆乳濃度を濃くして、豆腐の味がしっかり出る肉厚の油揚げを作っているとのこと。 最も重要なのは「揚げ工程」。若鯱家全店舗分の油揚げを、機械は使わずに全て職人が手揚げしています。多い時は1日1万個以上!生地を低温の油で膨らませた後、高温で揚げることで、きれいな黄金色になり、中はふんわりジューシーに。見た目や食感に関わる重要な工程のため、職人はつきっきりです。気温や生地の状態によって揚げ時間や温度の調整が必要なため、定期的に手で触ることでベストな揚げ具合を見極めています。
カレーうどんが「名古屋めし」になった理由とは?
「なごやめし普及促進協議会」によると、明治時代に東京で生まれたといわれるカレーうどんが名古屋めしに認定されている理由は、他県にない「独自の進化を遂げている」から。その最大の特徴が、こってりした「とろみ」です! 実は、とろみのつけ方はお店ごとに違います。創業97年、中区の「えびすや」は、小麦粉が入った洋食用のカレーペーストを和風だしに溶かしています。創業42年、中区の「つる岡」は、小麦粉が入ったカレールゥを使い、冷蔵庫で一晩寝かせています。創業98年、中区の「角丸」のカレー煮込みうどんは、生麺を直接土鍋に入れて煮込み、まぶされている麺の打ち粉によって、とろみを付けています。 デララバのSwindさんによると、名古屋でカレーうどんは戦後に普及。広まったきっかけは、愛知県稲沢市に本社を構えるカレーの食品メーカー「オリエンタル」が昭和20年に発売した、カレー粉と炒めた小麦粉を合わせた日本初の粉末状カレールゥ「即席カレー」があったからなのだとか! 発売当時は出張販売も行っていて、オリエンタルの星野副社長によると「昼食で訪れたうどん店で、ある社員が即席カレーを素うどんに入れたところ、ダシと合わさっておいしいものができた。お店の人にも食べてもらうと好評だった」のだとか。 名古屋にカレーうどんが定着したもう一つの理由は「シメの文化」!名古屋随一の歓楽街「錦3丁目」には、若鯱家本店をはじめ、カレーうどんのお店が8店舗もあります! 創業42年の「うどん錦」は、錦エリアで一番古いカレーうどん専門店で、「シメにカレーうどん」発祥の店ともいわれています。店主の清水さんによると、お客さんから「飲み過ぎた後に食べると、次の日は調子がいい」との声があり、気が付いたらシメに定着していたそうです。カレーに欠かせないスパイス「ターメリック」は、ウコンの一種。そのため、二日酔い予防にピッタリという声も! 錦の店「めんつるび」は、名古屋めしを組み合わせたメニュー「カレーきしめん」を提供。ルゥがよく絡むむように、きしめんの幅は通常の3倍以上の約3センチ。カレールゥには豚の背脂や生クリームを加え、まろやかな味わいに仕上げたカレーうどんです。 カレーうどんは、独自の歴史で進化を続ける「名古屋めし」でした! CBCテレビ『デララバ』1月31日(水)放送
CBCテレビ