「Zよりアレックスの方が推力オバケ!?」世代進むもMSスペックはそう伸びていないワケ
67年前の機体より低スペック……?
アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズでは、登場する人型兵器「モビルスーツ(以下MS)」に「ジェネレーター出力」「スラスター総推力」「センサー有効半径」といった性能データが公表されています。いわゆる「宇宙世紀」シリーズにおけるそれらMSの性能データを見ていて不思議に思うのは、「新しい機体だから数値が大きいとは限らない」ということです。 【画像】「えっ…スペックダウン?」こちらが記事中に挙げられた歴代「ガンダム」タイプMSです(14枚) たとえば宇宙世紀0088年に登場した「ZZ(ダブルゼータ)ガンダム」と、同0153年に登場した「Vガンダム」を比較すると、以下のようになります。 「ZZガンダム」 ジェネレーター出力:7340kw/スラスター総推力:10万1000kg 「Vガンダム」 ジェネレーター出力:4780kw/スラスター総推力:7万9700kg 「Vガンダム」は頭頂高で「ZZ」より4.6m小さい小型機ではありますが、単純に比較すると低スペックです。出力重量比では「V」が上になるものの、65年も経っているわけですから、MSのスペックは伸びていないといえるでしょう。 年代に差がない場合でも、こうした事例はあります。0079年に登場した初代「ガンダム」と、その3か月後に完成した「ガンダムNT-1(アレックス)」、0083年に登場した「ガンダム試作3号機『ステイメン』」、0087年に登場した「ガンダムMk-II」「Z(ゼータ)ガンダム」を比較してみましょう。 「ガンダム」 ジェネレーター出力:1380kw/スラスター総推力:5万5500kg 「アレックス」 ジェネレーター出力:1420kw/スラスター総推力:17万4000kg 「ステイメン」 ジェネレーター出力:2000kw/スラスター総推力:18万8800kg 「ガンダムMk-II」 ジェネレーター出力:1930kw/スラスター総推力:8万1200kg 「Zガンダム」 ジェネレーター出力:2020kw/スラスター総推力:11万2600kg 0083年に登場した「ステイメン」は、0087年の「ガンダムMk-II」を上回っていることがわかりますし、0079年に登場した「アレックス」は、0087年の可変MS「Zガンダム」よりもずっと高い推力を有しています。 さらに、「ステイメン」がアームドベース「オーキス」と合体した「デンドロビウム」や、前述した「ZZガンダム」の同世代機である「EX-S(イクスェス)ガンダム」は、圧倒的なスペックを持ちます。 「デンドロビウム」 ジェネレーター出力:3万8900kw/スラスター総推力:226万5000kg 「EX-Sガンダム」 ジェネレーター出力:1万2250kw/スラスター総推力:118万2000kg こうした機体の存在にも関わらず、0093年の「ν(ニュー)ガンダム」は以下のスペックです。 「νガンダム」 ジェネレーター出力:2980kw/スラスター総推力:9万7800kg 普通に考えるなら、ジェネレーター出力が高ければ高出力なビーム兵器が使えますし、推力が大きければ機動性で有利そうに感じますが、実際には「νガンダム」は「EX-Sガンダム」を100とした時に、8.2しか推力を「持たされていない」のです。 これはどういうことなのでしょうか。確実なことは「推力を大きくすることは難しくはない」ということです。「アレックス」は「Zガンダム」よりも小さいですが、推力は大きいわけですし、「EX-Sガンダム」は「νガンダム」とほぼ同じ頭頂高ながら、12倍の推力があります。 つまり、巨大な推力や、高すぎるジェネレーター出力は「いいことばかり」ではないから、スペックを「あえて」抑えているということになります。