『虎に翼』「はて?」が失われた寅子が心苦しい “一度逃げ出した自分”とどう向き合うのか
久藤「君だって彼女たちと同じ、今、社会を変える立場にいるじゃない」
第48話では、寅子の心境を物語る伊藤の演技だけでなく、神保や桂場(松山ケンイチ)、久藤(沢村一樹)や小橋(名村辰)の存在が、寅子が置かれている立場を際立たせていたのも印象的だった。特に、立花らの集まりに参加した寅子に対して久藤が言った言葉は寅子の核心をつく。人当たりがよくフレンドリーな久藤は物言いこそ穏やかだが、寅子の心を揺さぶる。 「どうして、そんなにひと事なの?」 「君だって彼女たちと同じ、今、社会を変える立場にいるじゃない」 物語の終盤、思い悩む寅子は、優三(仲野太賀)の姿を見る。優三は「僕の大好きな、あの何かに無我夢中になってる時のトラちゃんの顔をして、何かを頑張ってくれること」と優しく微笑むが、続く桂場、小橋、久藤の言葉が寅子を現実に引き戻す。 「君もそういう薄っぺらいことを言うのだなと」 「前のお前なら、すぐ『はて? はて?』ってかみついて理想論を振りかざしてただろ」 「君は本当に謙虚だね」 自分はどう行動すればよいのか。どうしていくのが正しいのか。行き詰まる寅子の心を乱すもう1つの出来事が起きた。花岡(岩田剛典)との再会だ。司法省で働くということは大勢の知り合いと顔を合わすということ。思わぬところで再会を果たした寅子と花岡はどんな言葉を交わすのだろうか。
片山香帆