〈追及・ヤマト運輸〉ドライバーから非難轟々の「クール部隊」は解体か「絶対にあそこへは戻りたくない」。置き配サービス導入も「利用はほぼなし」、残業打ち切りも「以前のままがよかった」
ヤマト運輸は昨年から、現場ドライバーの利益効率化を目指して「分業制」をスタート。これにより「CD」(クールドライバー)と呼ばれる、クール便専門の配達部隊を組織したのだが、現場からは批判が殺到。集英社オンラインは過去記事(#4、#6、#7)にて「クール便の遅延が相次いでいる」「いつか必ず食中毒を起こす」など、CDたちの悲痛な声を届けてきた。しかし、ここにきてヤマト運輸は方針を転換、都内23区の一部で「CD」の解体を進めていることが明らかになった。いったいヤマトになにが起きているのか。。 現場の声を聞いたはずなのに…本社の方針転換で上がった配達員たちの不満の声がこちら
クール部隊…やっぱりやめた!
日本郵便との協業にともない、ヤマト運輸に従事する非正規社員およそ2万8000人の契約終了が昨年6月に発表されて以降、集英社オンラインは過去8回にわたって現場で働く人々の混乱ぶりを報じてきた。 そのなかで明らかになったのが、昨年からヤマト運輸が推し進めてきた「分業制」だ。 もともと現場のドライバーは「SD」(セールスドライバー)と呼ばれ、集荷や配達のほかに営業も行なうのが基本だった。 ところが、現場ドライバーの利益効率化を目指して、昨年から港区・品川区・千代田区・新宿区・江東区などで新たにクール便専門の「CD」(クールドライバー)をスタート。 すべてのドライバーを対象に「説明会」を開いてメンバーを指名し、「クール部隊」と呼ばれる組織を立ち上げたのだ。 しかし、これに現場ドライバーからは批判が殺到。集英社オンラインの過去記事(#4、#6)のなかには現役のCDも証言しており、 「ドライバー1人あたりの配達範囲が広すぎて、時間指定順守率が10%を切っている」 「荷物(クール便)が多すぎて当たり前のように路駐して配達している」 「荷物が冷凍庫に入りきらず解凍事故が起こりそうになった」 「冷蔵庫や冷凍庫が完備されていない自前の車で配る”委託業者”もいて、食中毒を起こす可能性がある」 などと、その杜撰なシステムが浮き彫りになった。 そんななか、現役のヤマト従業員から新たな情報提供があった。事態の混乱を受けてか、急にヤマト運輸が方針を転換したというのだ。千代田区のセンターで働く現役ドライバーはこう証言する。 「あれだけ本社が力を入れていた『クール部隊』ですが、最近は解体の方向に進んでいるようです。都内23区の一部主管(エリア)のCDは、もとの現場に戻ってふたたびSDとして働いているようです。 実際に、昨年5月ごろからCDとして働いていた同僚も最近になって戻ってきました。クール部隊での日々は相当ツラかったようで、『やっと解放された』とか『マジでキツかった』と話していましたね」 新宿区のセンターに勤める現役ドライバーも、「ウチのエリアでもクール部隊は一旦解散しました」と言う。 「今年4月ごろに同僚たちの間でも『CDが解散するらしいよ』とウワサになっていたので、CDの先輩に聞いてみたんです。そうしたら『上司に、新宿区のCDは一旦解散するからって言われたんだよね』と困惑してて。 結局、5月初旬に新宿区のすべてのCDが戻ってきて、人手不足のエリアにSDとして配属されたわけですが、本社としてはクール部隊を完全に終わらせたわけではないそうです。また再集合する可能性もあるみたいで、『もうあそこには絶対に戻りたくない』と先輩も愚痴をこぼしていました。 CDとして働いている時期は、朝が早くて夜も遅いからめったに同僚たちの飲み会には参加しなかったし『体力的にしんどすぎる』と参っていましたから……」