オーロラは不吉な予兆 ── オーストラリア先住民の伝承を読み解く
各地の先住民族の間に残る不吉な伝承
先住民たちは、オーロラに対する恐怖を行動や社会規範を制御するために利用してきたというが、その内容はざっと以下のような感じで、今聞いてもゾッとするような話ばかりだ。(参照:https://theconversation.com/fire-in-the-sky-the-southern-lights-in-indigenous-oral-traditions-39113) ・(オーロラは)霊界の山火事であり、大災害が迫る前兆 ・(オーロラは)言いつけを破ったために天空の祖先の怒りに触れ、地球を破壊するために落とした火 ・(オーロラは)掟を破ったために、罰が迫っていることを知らせる有毒な炎 ・(オーロラは)伝統的法律を破ったために誰かが罰せられるという警告であり、大きな恐怖を引き起こす ・(オーロラは)空で大戦を戦う戦士たちが流した血、または死者の霊が天に昇ることを象徴 などなど…… どれもこれも不吉で、悪いことが起こるのではないかと想像してしまう人もいるのではないだろうか。先住民たちが伝えてきた火、血、死、そして前兆というキーワードに沿ってみていくと、以下のようにも連想できる。 大規模な山火事、または火山噴火、または戦争が起き、負傷した者が血を流し、死者がでる...そして、地球の終わりが訪れる……? 遥か昔から不吉なことが起こる予兆とされてきたオーロラの、広範囲に及ぶ出現は一体何を意味するのか。2024年もそろそろ半分に差し掛かる。この後、何事もなければいいのだけれど...なんとなく胸騒ぎがして仕方ないのは、私だけだろうか。
平野美紀(シドニー在住ジャーナリスト/ライター)