２０００年６月の衆院選鹿児島２区で返り咲きを果たし、支持者の握手攻めにあう徳田虎雄さん＝鹿児島市和田１丁目の徳田事務所

　日本最大級の医療法人「徳洲会」を創設し、衆院議員を通算４期務めた徳田虎雄（とくだ・とらお）さんが１０日午後８時１５分、神奈川県内の病院で死去した。８６歳。鹿児島県徳之島町出身。２００２年、全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病・筋萎縮性側索硬化症（ＡＬＳ）を発症し、闘病中だった。 【写真】〈関連〉「奄美の心」と書かれたたすきをかけて、１９８６年衆院選で演説する徳田虎雄さん

　葬儀は家族葬で行い、後日お別れの会を開くという。 　１９３８年生まれ。６５年に大阪大学医学部を卒業し、大阪府松原市に７３年、徳田病院を開業。７５年徳洲会を設立した。 　理事長として「生命だけは平等だ」「年中無休・２４時間オープン」などを旗印に、７６病院を含む約４００の医療・介護・福祉施設を全国に展開する巨大グループを一代で築いた。特に故郷・徳之島など鹿児島県内の離島・へき地医療の充実に尽力。国内外の災害医療活動や途上国での病院建設にも取り組んだ。 　病院進出の際は鹿児島をはじめ各地の医師会と激しく対立した。８３年の衆院選旧奄美群島区に初出馬。自民党の故保岡興治氏と激しい「保徳戦争」を繰り広げ、２回の落選を経て９０年に初当選。旧鹿児島１区と合区した９３年も連続当選した。 　小選挙区制導入後の２０００年、０３年は鹿児島２区で当選した。１９９５～９６年は村山富市内閣で沖縄開発政務次官。日本体操協会長なども務めた。

　９４年には自由連合を旗揚げ、国政選挙ではタレント候補などを多数擁立し話題を呼んだ。元東京都知事だった故石原慎太郎氏や亀井静香衆院議員らと親交が深いことでも知られた。２００４年２月から体調不良のため国会を長期欠席。０５年の衆院選を前に次男毅氏に地盤を引き継いだ。 　１２年１２月の衆院選鹿児島２区を巡り、徳洲会グループが公選法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受け、家族らが逮捕された。自身は、病気のため起訴か不起訴かを決めない「中止処分」を経て起訴猶予処分となった。１３年１０月にグループの理事長を引責辞任した。 　徳之島３町や与論町、屋久島町などの名誉町民。