尹錫悦大統領、職務停止へ…警護や儀典など礼遇は維持
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務が14日夕方、停止された。憲法裁判所の弾劾審判手続きが進められる間、大統領職は維持されるが、憲法によって与えられた国家元首および行政首班としての権限は剥奪される。 尹大統領に対する弾劾訴追案が同日午後5時、国会本会議で可決した後、ソウル龍山(ヨンサン)大統領室には数時間後に弾劾訴追議決書が送られる。尹大統領から剥奪された権限は、ハン・ドクス首相が代行を務めて行使することになった。大統領の憲法上の主要権限は、国軍統帥権▽条約締結批准権▽赦免・減刑・復権の権限▽法律案拒否権▽国民投票付議権▽予算案提出権▽外交使節接受権▽公務員任免権▽憲法機関の任命権など。 ただし、「12・3内乱事態」を捜査する警察がハン・ドクス首相を被疑者に切り替え、国会で野党主導でハン首相に対する弾劾案が可決された場合、次順位のチェ・サンモク副首相兼企画財政部長官が大統領権限代行と首相権限代行を兼ねる可能性もある。野党「共に民主党」は状況を見守りながら、ハン首相の弾劾の可否を判断する方針だ。ハン首相が「内乱特検法」や「キム・ゴンヒ特検法」などに再議要求権(拒否権)を行使した場合は、直ちに弾劾に乗り出す構えだ。 憲法裁判所の弾劾審判の手続きが進められる最長180日間、尹大統領は龍山(ヨンサン)大統領室の執務室に入ることができない。統治行為とみなされるすべての活動が中止されるためだ。ただし、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の官邸に留まることはできる。警護や儀典などの礼遇も維持されるため、官用車と専用機も利用できる。給与もこれまでと変わらないが、業務推進費の支給は停止される。権限の行使が停止された間も、尹大統領は大統領室参謀たちから非公式の形で報告を受けることはできる。ただし、報告の範囲は公務上の秘密を除いたものに制限される。大統領秘書室の組織もこれまでと同じく維持される。 尹大統領はこの日、漢南洞の官邸で、国会の弾劾訴追案表決の結果を見守ったという。大統領室の参謀たちは、非常勤務をしながら国会の状況を注意深く見守った。マスコミとの接触も最小限にとどめた。 弾劾審判を通じて憲法裁判所が弾劾案を「認容」すれば(受け入れれば)大統領職は直ちに剥奪される。その場合、尹大統領は一般人として刑事裁判を受けることになる。弾劾で罷免された大統領には毎月支給される年金(在職当時の給与の70%水準)はもちろん、秘書官3人、運転手1人に対する賃金と無償医療サービスなどの恩恵もなくなる。一方、憲法裁が弾劾案を却下または棄却すれば、尹大統領は直ちに職務に復帰できる。 チャン・ナレ、コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )