『仮面ライダーギーツ』【ネタバレ】簡秀吉&杢代和人が最後の物語で魅せた「二人の関係」
つかず離れずな英寿と道長のライバル関係
――撮影現場での思い出を教えてください。 簡 撮影していたのが、夏のメチャクチャ熱い時期だったんです。一番暑い思いをしているアクション部の方々が、猛暑の中でアクションする姿を見て、流石プロフェッショナルだなと思いましたし、「僕も頑張らないと」という気持ちになりました。 ――しかも、黒や黒っぽい色の仮面ライダーが多いですしね。余計に日差しがきついというか。 簡 そうなんです。 杢代 とんでもないですよね。僕は素面でのアクションシーンが思い出深いです。 簡 今回は坂本(浩一)監督だから素面でのアクションが多いし、どれも見応えがあるんですよね。 杢代 坂本さんには、アクションを経験したことがない序盤から優しく見ていただいていたんです。なので今回は、これまで坂本さんから自分が学んできたことを見せたい気持ちもあったので、いいアクションができた気がします。 それからバッファ、タイクーン、ナーゴの3人が、同時にライダーキックするシーンがメチャクチャカッコいい! しかも、ライダーキックした後の着地シーンが、今回は特別で素面になっていて。ライダーキック後の爆破を素面で受けるという、貴重な経験ができたのが楽しかったし、とても嬉しかったです。 簡 あのシーンの爆破は一瞬、CGなのかなと思ったんですよ。実際に爆破したって聞いてビックリしたし、誰もぴくりともしないから、肝が据わっているなって。 杢代 どこ目線の感想?(笑) 簡 いや、僕はあんな間近での爆破シーンなかったし、遠くで聞いていても怖いなと思っちゃうから。本当にすごいなって思った。熱風もくるし。 杢代 そうだね。でも、一回きりだと言われていたから、熱さや音よりも失敗できないプレッシャーのほうが強かった。 簡 いやぁ、プロだわ……。 杢代 ありがとう。 ●つかず離れずな英寿と道長のライバル関係 ――簡さんは道長、杢代さんは英寿の印象的なシーンを聞かせてください。 簡 春樹に「俺が面倒見てやるから」と話しているところは、TV本編からの成長を感じました。道長、すごくカッコいい男になったなって。 ――英寿的にも、安心して道長に世界を任せられたところがあったんじゃないかなと。 簡 いやぁ、まだまだ戦闘力が……。 杢代 言うな、強化フォームになってるんだから(笑)。「やっと足りてきましたね」くらい言って。 簡 (笑)。やっとナーゴのファンタジーフォームや、タイクーンのブジンソードと同等に追いついてきたというか。 杢代 上からだなぁ~。 簡 神なので。 杢代 別に役が神でも、君が神なわけじゃないからね! 簡 (笑)。でも、英寿は任せるとかあまり考えていないと思うんですが、自分が縛られている中で変身するためのバックルを手に入れたから、「ようやく目覚めてくれたな」って気持ちは強かったのかなと。 杢代 僕が英寿の印象的なシーンで挙げようとしたのが、ちょうどその辺りで。道長がベロバに刺された後、英寿が「お前は仮面ライダーだ。お前の願い、貫いてみせろ」と言うんですよね。 道長と英寿は1話からずっとライバルとして描かれていて、そういう関係性の中、道長が新しい力を手に入れる時に、英寿が言葉をかけてくれるのが僕としてはとてもアツいなって。きっとファンの皆さんから見ても、二人の関係の良さが感じられるポイントが、今回の作品にはいくつもあるんじゃないかと思います。 ――今作で『仮面ライダーギーツ』の物語は一区切りとなるわけですが、英寿と道長が迎えた結末に、どんな印象を抱きましたか? 簡 英寿と道長はライバルからはじまって、共闘しつつもお互いに仲良く話すわけではない、いい関係で終われたのは良かったなと思います。 杢代 ファンの皆さんが、これからの姿を想像しやすい形で終わった気がします。変に仲良く終わったらライバルっぽさが消えちゃうし、また共闘してほしいなと思わせる関係性のままで、とても良かったなと。最初から最後までいいライバルだったなと感じさせる、いい終わり方だと思いました。 簡 仮面ライダー2号みたいな立ち位置だもん、もう。 杢代 特に今回はね。 ――最後に二度、三度観る上で注目してほしいポイントを挙げていただけますか。 簡 アクションシーンは初見だと動きが速すぎて、じっくり見られないところもあると思うんです。なので何度も観返して味わってほしいですね。そして、英寿と1000年後から来た白い髪のエースの対話も、ぜひ耳を澄ませて聴いてもらえたらと思います。 杢代 僕は何気ない会話シーンに注目してほしいです。今回が最後の作品ということで、どこか惜しむような気持ちもあって。観返す時は感情をぶつけ合う、印象に残りやすいシーンだけじゃなく、冒頭のホラーチックな場面やコメディっぽい場面といった、何気ないシーンも楽しんでもらいたいです。 今作は “愛” や “信じること” がテーマになっているので、何回か観るうちに「彼の言っていることはこういうことなのか」と、理解を深めていただければ嬉しいです。 (C)2024 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2022 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
佐久間 翔大