『ブラックペアン2』二宮和也×竹内涼真の師弟関係が強固に “技術”と“芸術”のぶつかり合い
7月28日に放送された『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)第4話は、“技術”と“芸術”のぶつかり合いとでもいうべきか。患者にギャンブルを持ちかける天城(二宮和也)のやり方が問題視され、東城大病院に医療訴訟で有名な弁護士の戸島(花總まり)が乗り込んでくる。 【写真】シーズン2と比べるとかなり幼くみえる研修生時代の世良(竹内涼真)と花房(葵わかな) 彼女を焚き付けたのは維新大の菅井(段田安則)であり、ダイレクトアナストモーシス以外では治せないと言って莫大な治療費を要求することが詐欺に当たると追求してくる戸島。新病院の建設や日本医学会会長の座をねらう佐伯(内野聖陽)は、病院の悪評を避けるために対応に追われることとなる。 そんななかで世良(竹内涼真)は、戸島が看護師の花房(葵わかな)の母親であることを知るのだが、その直後に戸島は狭心症で倒れ、世良が緊急オペを執刀。しかしダイレクトアナストモーシスでなければ直すことができないと判断し、断念。それでも戸島は天城のオペを受けることを拒み、東城大を勝手に退院し維新大へ。そこで開発が進められている医療用AI「エルカノ」の実験台として、公開オペを受けようとするのだ。 第2話、第3話と、“公開オペ”によって天城の手腕を見せつけることがドラマの見せ場として機能してきた『ブラックペアン』だが、今回のエピソードにおいては天城がオペを執刀することはない。むしろ彼は傍観者として、会場のロビーのモニターを悠々と眺めながら、「エルカノ」の脆弱性と、AIに依存して目の前の患者の観察をないがしろにする医師の怠慢にほくそ笑むことに徹している。そうした“イレギュラー”でありながらも、ストーリー展開自体は極めてベーシックというか、率直に言えば少々ご都合主義的にも取れる。 そんななかで果敢にも立ち上がり、事態を収束するためにメスを握るのは天城の右腕である“ジュノ”こと世良に他ならない。要するに今回のエピソードは、天城の薫陶を受ける世良の成長と、両者の師弟関係をより強靭なものにさせるためのものだろう。前回も公開オペで共同執刀をおこなった両者ではあるが、今回は天城が世良を言葉で徹底的に煽り、彼のプライドを徹底的に刺激したのち、自身のオペの技術ーーすなわち、AIで補うことのできる技術のその先にある“芸術”ーーを教え込む。世良と花房のラブストーリー的要素(原作には確かにあるわけだが)を入れ込むのは、世良が戸島を救うために必死になる意味をさらに強める役割であるといえよう。 それでもやはり、天城と同じような“芸術の境地”にまでは達することができない世良は、公の場でさらなるピンチに陥ることとなる。先述のようにそれを眺めていた天城は、花房から懇願されても自らオペを執刀しようとはせず、花房に“シャンス・サンプル”を持ちかけ、それが失敗に終わったところで物語自体は次回へと持ち越される。今回と次回でドラマが折り返し地点を迎えるといったところか。ドラマの前半戦がこうして天城と世良の関係の構築に注ぎ込まれたとなれば、後半戦により複雑な展開が待ち受けることが予測できる。
久保田和馬