（左から）日高祥博社長、渡部克明会長

　ヤマハ発動機は30日、日高祥博社長（61）が同日付で辞任し、渡部克明会長（64）が10月1日から社長を兼務する人事を発表した。日高社長は娘に切りつけられた事件を受けて「父親として家族のケアに専念したい」とし、顧問などにも就かず会社を完全に離れる。 　同社は、経営路線の維持を目的に渡部氏の兼務が決まったとした。今後、社外取締役が過半数を占める役員人事委員会で、社長兼務のまま続けるか、新たな社長を据えるかを検討していくという。 　日高氏は1987年入社。二輪車の営業畑を中心に進み、MC事業本部第1事業部長、企画・財務本部長などを経て2018年に社長に就任した。今年9月中旬、娘が日高氏を包丁で切りつけたとして殺人未遂容疑で逮捕されていた。日高氏は「（25年からの）次期中期経営計画（中計）策定に向けた大切な時期に社長の職を辞することはステークホルダーに迷惑をかけないかと悩んだが、経営陣に私の意思を理解いただいた」とコメントした。 　渡部氏は1982年入社。生産本部長やMC事業本部長、副社長などを歴任し2022年から会長。「日高社長の要望を尊重する形で辞任を受け入れた。現中計の総仕上げを行い、次期中計策定と実行に向け、経営のかじ取りを行っていく」とコメントを出した。 　同社は社長人事に合わせて、企画・財務などを担当する設楽元文取締役上席執行役員（61）が1日付で代表権を持つ副社長に昇格する人事も発表した。