二階氏の三男を「後継指名」した和歌山町村会長を直撃!「二階氏は政治家として一流」「これは世襲ではない」の理屈とは
自民党の二階俊博・元幹事長の体調不良がささやかれる中で、地元の和歌山県町村会は4月24日、二階氏の三男で、二階氏の公設第一秘書を務める伸康氏に出馬を要請した。 【写真】二階氏の後継に名前があがっていた長男・俊樹氏 24日朝、和歌山県印南町役場の町長室で、二階伸康氏への出馬要請は行われた。 伸康氏が町長室に現れると、待ち受けていたのは、町村会会長である岡本章・九度山町長、同副会長の日裏勝己・印南町長、西前啓市・古座川町長の3人。 岡本氏が「出馬要請」と書かれた表彰状を思わせる書面を手に、 「次期衆議院議員選挙にあたり、和歌山県町村会は町村長の総意により貴殿に出馬要請いたします」 と読み上げ、伸康氏に手渡した。当初、こわばった表情だった伸康氏だが、書面を手渡されると、嬉しそうな笑顔を見せた。 その後、記者団に囲まれた伸康氏は、 「重く受け止め、熟慮します」 と、立候補を明言こそしなかったが、 「まだ父(二階氏)には相談していない。ただ衆議院は常在戦場で、長く回答に時間はかけられない」 と前向きに答えた。周囲には地元の支援者が待ち構え、拍手が沸き上がった。 二階氏の後継としては、やはり秘書として地元を取り仕切る長男、俊樹氏の名前もあがっていた。俊樹氏は2016年におひざ元、御坊市長選に出馬したが大差で落選。当時、筆者は週刊朝日で取材したが、俊樹氏について「上から目線」だという声を地元ではよく聞いた。 伸康氏は、そのことを知ってか知らずか、記者団に対しても低姿勢で、何度も頭を下げていた。
和歌山県は次期衆院選で現在3つある小選挙区が2つに減る。二階氏は新しい和歌山2区から出馬を予定していたが、自民党の裏金問題で次期衆院選に出馬しないことを表明。だれが後継候補になるかが注目されていた。 和歌山県内の21町村は、すべてがこの新2区となる。その町村会から出馬要請されたということは、実質的に伸康氏が二階氏後継の一番手になったといえる。 この出馬要請を主導したとみられているのが岡本氏だ。 自民党のある和歌山県議は岡本氏について、「二階氏が国政のキングメーカーなら、岡本氏は和歌山のキングメーカー」だと評する。 「2022年の和歌山県知事選では、先に世耕弘成参院議員が中心になって、総務官僚を自民党で推薦する話を進めていた。それを二階氏と岡本氏がタッグを組み、国民民主党など野党の衆院議員だった岸本周平氏を町村会が推し、自民党推薦をひっくり返し、一気に知事に押し上げたのは有名な話です」(前出の自民党県議) 伸康氏の記者会見の日、“キングメーカー”の岡本氏を直撃した。 まず、伸康氏への急な出馬要請についてはこう話す。 「和歌山と国とのパイプがなくなると心配でした。6月に衆院選があるんじゃないかとニュースにもなっており、すみやかに二階先生の後継のメドをつけなければと思った」 新和歌山2区からは、伸康氏だけではなく、前述のように二階氏の長男、俊樹氏の名前もあがっていた。また、裏金事件で離党勧告の処分を受け、離党した世耕弘成参院議員も、衆院にくら替えして参戦するといわれてきた。なぜ、伸康氏だったのか。 「俊樹氏や世耕氏も新和歌山2区から出馬したいという話は知っている。それもわかった上で伸康氏に、和歌山町村会は総意で決めた」 その理由についてはこう話す。 「伸康氏は、二階氏が国の中枢で活躍していた10年ほどですか。ずっと横でそれを見てきた。その経験がある。国のこともわかるし、和歌山県御坊市で育ち、和歌山のことも十分わかっている。それと46歳という若さ。この2つです。俊樹氏を、という人も町村会にはいたが、2人をケンカさせるのはダメです。家族なのでそちらで話し合いをしてくれとすでに伝えています。まさか俊樹氏が伸康氏を押しのけて出馬するなんて強引なことはしないはずだ」