DeNAまとめサイト問題で守安社長会見(全文1)会社として大きな変革が必要
IT大手のDeNA(ディーエヌエー)キュレーションサイト問題で、第三者委員会による調査報告書が13日、公表された。これを受けて同日夕、第三者委と経営陣がそれぞれ記者会見した。 【中継録画】DeNAまとめサイト問題で報告書 第三者委と経営陣が会見 第三者委は午後5時から、経営陣は午後6時15分から会見する予定。第三者委の会見には、委員長の名取勝也弁護士(元日本アイ・ビー・エム株式会社取締役)ら委員会メンバーが、経営陣の会見には、守安功社長と南場智子会長らが出席した。
守安功代表取締役兼CEOより説明
司会:あらためまして本日はお忙しい中お運びをいただきまして誠にありがとうございます。株式会社ディー・エヌ・エーの記者会見に際しまして、本日の説明者をご紹介いたします。まず株式会社ディー・エヌ・エー、代表取締役兼CEO、守安功でございます。代表取締役会長、南場智子でございます。執行役員経営企画本部長、小林賢治でございます。それではまず守安より皆さまにご説明を差し上げます。 守安:株式会社ディー・エヌ・エー、代表取締役兼CEOの守安功でございます。当社キュレーション事業による今回の一連の問題によりご迷惑をお掛けした皆さまに深くおわび申し上げます。また当社サービスをご利用いただいている皆さま、お取引先の皆さまをはじめ、多数の皆さまにご迷惑、ご心配をお掛けしましたことをあらためて深くおわび申し上げます、誠に申し訳ございませんでした。本日は着座にて失礼いたします。 先般、発表しましたとおり、社外の専門家のみで構成される第三者委員会を設置し、約3月にわたる調査を経て、3月11日に報告書を受領いたしました。このたびの調査報告書、および報告書内の指摘事項を当社としても重く、そして真摯に受け止めております。短い機会の中で専門家の皆さまには広範囲な資料の精査など、精力的、かつ徹底的に調査いただきましたことをこの場を借りて御礼申し上げます。 第三者委員会の報告書において法令上の問題、倫理上の問題として大きく4点の指摘を受けました。1つ目が著作権法に違反する可能性のある記事が作成、公開されていたこと。2つ目が薬機法等に違反する記事が作成、公開されていたこと。3つ目が内容が不適切な記事が作成、公開されていたこと。4つ目がプロバイダ責任制限法の適用を受けられない場合であってもプラットフォーム提供者として、プロバイダ責任制限法の適用を受けられるかのような説明を行っていたこと。 今回の問題に際して第三者委員会に客観的な調査報告をお願いすると同時に私なりにも今回の問題が生じた本質的な原因や背景はなんだったのかを振り返り、社内でも議論を重ねてまいりました。本質的には本事業に発生した問題に関する要因は次の3点に集約されると考えております。1つ目が事業において最も重要である利用者の皆さまへの本質的な価値、あるいは世の中への貢献といったものが最も優先するような実態になっていなかったことです。2つ目が事業の定義や理解があいまいであったということです。 まず、われわれの提供してきたサービスがメディアなのか、プラットフォームなのかというところに関して、その定義や理解、線引きがあいまいなまま事業が推進されたため、さまざまな問題を引き起こしてしまいました。実質的にはメディアであったにもかかわらず、メディアとして求められる責任への理解が不十分であり、権利関係や記事の正確性などへの本来、当然配慮すべき部分について、適切に運営されておりませんでした。 3つ目が問題を早期に発見、チェックする管理体制の不備があり、コンプライアンスが徹底できていなかったことです。新しいことに挑戦し続け、成長していくことを強く志向する、それこそが当社のDNAです。ただ、そうした挑戦の姿勢を強く持つのであれば、事業の成長に伴う責任や義務をきちんと果たすための管理、コンプライアンス、およびガバナンスを強化して足場を固めなくてはいけませんでしたが、そちらに対して対応が不十分であったと考えております。 今回の問題に関しての当社内の調査、および議論、そして第三者委員会の報告書の内容を踏まえ、当社として本事案の責任を明確にするため、関係者への処分を当社取締役会にて決定いたしました。私、守安功につきましては、2016年12月1日公表においては、月額報酬の30%を6カ月間減額としておりましたが、今般の第三者委員会における調査報告書の結果を踏まえ、月額報酬の50%を6カ月間減給といたしました。執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長、村田マリにつきましては、就業規則に基づく処分を行いました。また、3月12日付で執行役員を辞任し、また同日付で子会社iemo株式会社の取締役、および株式会社Find Travelの取締役を辞任する意向を表明しております。当社子会社である株式会社ペロリの代表取締役、中川綾太郎は、3月12日付で同社の取締役を辞任しております。なお、執行役員、柴田大介。執行役員経営企画本部長、小林賢治。ほか25名につきましても就業規則に基づく処分をいたします。 今回の件においては、12月7日より問い合わせ窓口を設置し、対応を進めておりますが、その点についてご報告させていただきます。昨年12月の問い合わせ窓口設置以降、多数のお問い合わせをいただきました。ご相談内容に応じて1件1件、対応をさせていただいております。なんらかのご懸念をお持ちの方は、当社ホームページのトップページに継続して窓口を設けておりますので、お問い合わせをいただきたく思います。お問い合わせをいただいた上で調査を行い、その結果を報告するとともに、お問い合わせいただいた方、お1人お1人の思いやお考えも踏まえ、皆さまにご理解いただけるよう対応を行ってまいります。 われわれは従来より挑戦を重視し、企業を運営してきました。また、それを企業の文化にもしてまいりましたが、認識が足りておりませんでした。管理やコンプライアンスの徹底なくして、挑戦を実現することはできないということです。会社としての大きな変革が必要であると考えております。 そこで、第一に会社のトップマネジメントを強化し、改革を進めてまいります。まず、南場が代表取締役会長に就任し、代表取締役が2名の体制に変更します。また、コンプライアンスとリスク管理の最高責任者を新たに定めるなど、今後、数カ月かけて強固なトップマネジメント体制を築き上げていきます。そして、管理、コンプライアンス体制の強化も進めてまいります。全社のリスク情報の一元管理を行うとともに、取締役会、監査役会への報告を定期的に実施します。さらには関連部門間の連携を深め、コンプライアンス体制をさらに強化していきます。 加えて、執行役員や事業本部長については、コンプライアンスや管理能力をよりいっそう重視し、複眼的な観点から適正な配置を行うよう努めていきます。また、候補者選定においては、社内取締役だけでなく、社外取締役による人物評価を行い、客観的な視点から任命プロセスを進められるようにしていきます。 しかしながら、今回の問題における本質的な要因は、体制や仕組みを変えるだけで簡単に解決できる問題であるとは考えておりません。根本的な解決のためには私を含めた経営陣をはじめ、全従業員の徹底的な意識改革が不可欠であると考えております。具体的には、取締役会や経営会議において事業の定義やお客さまにどういった価値を提供していくのか。あるいは、それが倫理上、正しいことなのかそういったことを議論する際に、お客さまの声、例えばカスタマーサービスにいただいている声や、運営側に直接いただいている声などを自らが率先して確認すること。 また、新規事業などにおいて社外の有識者の方からアドバイスをいただくなど、客観的な視点を交えて正しい事業運営がされているのか、そういったことをしっかり時間をかけてじっくり議論をしていく、そうすべきであると考えております。また、こういった議論が取締役会や経営会議だけでなく、各事業部門、そして各サービスの単位においても常に行われる、そういった企業に変えていきたいと考えております。 この3カ月間、社内外の多くの方からさまざまな声をいただきました。その中でDeNAはもうけ主義だよね、だからこういった問題が起こるんだよ、といったご意見が、特に社外の方から、また社内からも一部ではありますが、ありました。このような言葉を受けて本当につらかったし、深く反省しました。多くの声を受けて実態としてどうだったのかということを、ここであらためて深く反省し、お客さまへの提供価値、そして社外にどういった貢献をしていくのかということを事業推進の中枢に据えて、全ての意思決定、全ての行動を変えていく、それをあらためて決意いたしました。その達成度合いや経過につきましては、社内外の皆さまから厳しくご意見を承りたいと考えております。 皆さまより信頼いただける企業として生まれ変われるように、従業員一丸となって全力で取り組んでまいりたいと考えております。 司会:続きまして南場より皆さまにご説明を申し上げます。