「十二月大歌舞伎」で上演の「あらしのよるに」取材会を行った尾上菊之助（左）、中村獅童

　中村獅童（52）尾上菊之助（47）が8日、都内で、「十二月大歌舞伎」（同3～26日、東京・歌舞伎座）で上演される「あらしのよるに」の取材会を行った。 　同作は94年に発刊された絵本が原作で、15年に新作歌舞伎が初演され、再演を重ねている。今回は上演5回目で、原作絵本の発刊30周年として上演される。 　オオカミとヤギが友情を育む物語。獅童は「人を思いやる気持ち、自分を信じて自分らしく生きるという普遍性がある。誰にも相手にされなかったけど自分を信じて生きるというのは、若い時の自分とオーバーラップする。演じれば演じるほど作品が身に染みます」と語った。 　長男陽喜、次男夏幹も出演する。獅童は「陽喜と夏幹も、いつかこの作品のテーマ性に気付いてくれて、勇気につながればと思います」とした。5回目の上演となることについては「これだけやらせてもらえれば、私がこの世から去った後も生き続けてほしいなと思います」と希望を語った。 　獅童が歌舞伎として立ち上げたが、13年に亡くなった母陽子さんはその何年も前に手書きで同作に関する企画書を出していた。 　菊之助は「獅童さんが初演時にどういう気持ちでこの作品をかけられたのかとか、亡くなられた獅童さんのお母さまが手書きで企画書を出されていたとか、そういう話を聞いて、なんとしても力になりたい、幅広い方に届けたいと思いました」と話した。 　2人は23年の新作歌舞伎「FINAL FANTASY X」で共演しているが、それまでは10年ほど共演がなかったという。獅童は「今年の6月にも共演しました。地方の劇場に見に行かせていただいたりとか、ことあるごとにお食事とかお茶したり。10年も共演してなかったのかというくらい、近年は急接近です。未来の歌舞伎を担っていく方なので、きっちりお話ししたいなと思っていた」、菊之助も「親密にさせていただいている。その親密さが舞台に生かされているのではと思います」と話した。 　互いの印象を聞かれ、獅童は「真面目な印象です。しゃべると意外とひょうきんなところもある。大阪ではカラオケに行きました。生バンドで菊之助さんが世良公則さんを歌ったんです。菊之助さんにシャウト系のイメージなかった」と明かし、菊之助は「獅童さんは『FINAL FANTASY X』の時、いろいろなアドバイスをくれて、1つ1つ問題が解決していきました。頼れるアニキのような存在で、いつもお話しさせていただいています」。