雪不足でスキー場休業、宿泊数百人規模でキャンセル…業者悲鳴「売り上げ、新型コロナの時期と変わらず」
長野県北部、行政が業者支援へ
長野県北信地域で昨年末から気温が高く降雪量が少ない傾向が続き、除雪業者や観光業者などから経営への影響を懸念する声が出ている。雪不足に悩んだスキー場一帯のホテルや旅館では宿泊キャンセルも発生。飯山市の飯山商工会議所は11日、融資制度の限度額の引き上げなどを市に要望したほか、山ノ内町は15日から少雪で影響を受けた業者への金融支援を始める。 【写真】大雪だと雪捨て場は混雑。2012年には、トラックの車高ほどまで雪が積もる中に車列ができた
除雪車出動、今季は2回だけ 軽油も売れ残り
飯山市街地のガソリンスタンド「畑宗」では、除雪車や除雪機の燃料として仕入れた軽油がほとんど売れない状態が続く。店を営む畑山まり子さん(70)は「資金繰りはどうしようか」と頭を抱える。市除雪対策本部によると、市街地で今季、除雪車が出動したのは2回だけ。市内の建設業者などでつくる除雪連絡協議会の吉越明人会長は「冬場は積雪で土木作業ができず『除雪一本』の会社がほとんど。大変な状況」と訴える。
飯山商議所の坪根弘記会頭らは11日、市役所を訪れ、影響を受ける業者に対する市融資制度の貸付上限額の引き上げなどを求めた。江沢岸生市長は取材に「庁内で協議し、(支援について)検討していきたい」と述べた。
「一番の書き入れ時逃した」
山ノ内町夜間瀬のよませ温泉スキー場は12月30日から1月4日まで雪不足で休業。営業担当の高木健児さん(60)は「一番のかき入れ時を逃した影響は大きい」とする。近くで宿泊施設を営む男性(53)は「地震の影響もあり年明け以降、夜間瀬の宿泊施設全体で1日当たり数百人規模がキャンセルした。売り上げは新型コロナが影響していた時期と変わらない」と漏らす。
12月の積雪量は平年の36% 望むのは恵みの雪
町は15日から少雪の影響を受けた業者に町制度資金の利子補給を始める。町観光商工課は「運転資金がショートしないよう使ってほしいが、みんなが望んでいるのは恵みの雪」としている。
長野地方気象台によると、12月の飯山の積雪量は平年比36%の57センチにとどまり、今年1月上旬(1日~10日)の降雪量も平年比43%の41センチ。一方で同気象台は「13日午後から冬型の気圧配置となり、大雪の可能性がある」としており、よませ温泉スキー場の高木さんは「1月にしっかり降ってくれれば、2月のハイシーズンに盛り返したい」と望みをかけている。