最高峰を追求した天才のドキュメンタリー 日本ポップスを大きく進化させた革命児…映画「トノバン」
◆「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」(相原裕美監督、公開中) ザ・フォーク・クルセダーズ、サディスティック・ミカ・バンドなどで活躍したミュージシャン・加藤和彦さんのドキュメンタリー。「トノバン」とは、英国のフォークシンガー、ドノヴァンに由来する加藤さんのニックネーム。日本のポップスを大きく進化させた革命児っぷりと、長身で貴公子然としたたたずまいは確かに「殿」である。 宅録(自宅録音)、インディーズの元祖だったフォークルの「帰って来たヨッパライ」がいかに画期的だったか。音楽の教科書にも残る名曲「あの素晴しい愛をもう一度」から、どういう思考回路で、ミカ・バンドとしてロックの本場の英国に乗り込み、音楽番組でクールな演奏を披露したのか。 同じことを二度としない―というトップランナーは悲しい最期を迎えるが、音楽だけでなく食やファッションでも最高峰を追求した天才の功績はもっと評価されるべきだと思った。
報知新聞社