雪のきらめきを描いた「樹氷」など、福田豊四郎の作品が並ぶ会場（京都市北区・府立堂本印象美術館）

　秋田に生まれ、京都で学び、新しい日本画の創造に尽くした画家、福田豊四郎（1904～70年）の京都初の回顧展「モダニスト福田豊四郎、秋田を描く―土田麦僊（ばくせん）に愛された日本画家」が9日、京都市北区の府立堂本印象美術館で始まった（京都新聞など主催）。北国の爽やかな空気を新鮮な感覚で描いた作品が並ぶ。 　豊四郎は、初め京都で洋画を学んだ後、東京の日本画家・川端龍子（りゅうし）に師事、さらに京都で土田麦僊の教えを受けた。後には同世代の画家らと新感覚の絵画を追究、洋画やシュールレアリスムの手法も取り入れた独自の作風を展開した。 　作品は多くが故郷・秋田を題材とし、集落を包む雪、量感あふれる群青色の海など、北国の自然を伸びやかに描いている。日本百名山の一つ、八幡平（はちまんたい）に取材した「樹氷」は、金箔（きんぱく）を貼った鹿の群れを中央に描くことで、光に反射する雪のきらめきを強調している。 　師にあたる麦僊や龍子の作品のほか、彼らとの交流を示した書簡なども含め、48点を展示した。11月24日まで。有料。65歳以上は公的証明があれば無料。