紅葉名所のモミジ「寿命」近づく…地元がつくった絶景を“次の100年”へ 香嵐渓が迎えた大きな転機
そこで1988年(昭和63年)始まったのが、明かりで照らして紅葉を浮かび上がらせる『ライトアップ作戦』だった。
足助観光協会の岡本真知さん: 「渋滞対策で行ったことなんですけれども、だんだんとそれが噂になって、夜も大渋滞という“オチ”になってしまったんですけれど。こんなに大規模なライトアップは他にはないと思っていて、昔のトンネルでよく見たオレンジっぽい照明を使っているので、とてもきれいに見えます」
■モミジに近づく“寿命”…絶景を次の世代に繋ぐための取り組み
全国にその名を知られるようになった香嵐渓だが、「大植樹」から100年が経ち、大きな転機を迎えている。 樹木医の大橋成友さんは10年以上前から、香嵐渓のモミジを「診察」している。木の状態をみるだけでなく、枯れ枝が落ちて観光客に当たらないようするなど、細かいところにも気を配っている。
2024年の猛暑ではモミジが水不足となり、木が傷むことが心配されたが、無事に乗り切ることができた。モミジは100年以上長生きできるが、木が弱ってきて色付きが悪くなることもあるという。
また、モミジとともに植樹されたスギの木が成長し、栄養がいきわたらなかったり、十分に日が当たらないことから、5年前から本格的な間伐を始めた。伐採したモミジから作ったストラップも販売されている。
香嵐渓のモミジを守るための間伐と植樹には多額の費用がかかるため、効率的な作業が求められる。 樹木医の大橋成友さん: 「(老木に)お金をかけて一生懸命色々なことをすれば、多少は良くなると思うんですけど。本数が多いですから、年代差をつけたいと考えると。1本の木を一生懸命守るよりは、多少悪いなと思ったらあきらめるのも大事かもしれないですね」
豊田市も香嵐渓100年プロジェクトとして2024年度から7年間、毎年1000万円をかけて、弱ったモミジの伐採や植樹などを進めている。 足助観光協会でもモミジを守るため、2016年から『願掛けろうそく』というイベントを始めた。11月の週末に行われ、巴川沿いにグラスに入ったろうそくがおよそ800個並び、紅葉したモミジと神秘的な光景を作り出す。ろうそくは1個500円で販売され、モミジの植樹に役立てられている。