「京都市バスの運転は荒い」は過去のこと? ピークから事故激減、赤信号で人はねる事故も
京都市交通局は、2023年度の市バスの事故件数をまとめた。市バス側に責任があった有責事故は46件、走行距離10万キロ当たりの有責事故は0・155件と、いずれも前年度より減少し、目標を達成したものの、赤信号の見落としで歩行者に重傷を負わせた重大事故が1件発生したため、全体としての安全目標は「未達成」と結論付けた。 【グラフィック】事故は減った? 2007年度からの市バスの有責事故推移 交通局は23年度の目標を、重大事故「0件」、走行距離10万キロ当たりの有責事故で「0・158件を下回る」と設定した。有責事故は目標を達成したが、今年3月8日夜、東山区内で赤信号を見落とした市バス車両が横断中の歩行者と接触し、歩行者に重傷を負わせる事故が発生し、「重大事故」に認定した。 有責事故の内訳は、自動車との接触が30件、歩行者との接触2件、急ブレーキなどによる車内での事故14件。運行者の内訳は直営バスが前年度比3件増の33件、民間事業者への委託バスが4件減の13件だった。直営の事故33件のうち、過去5年以内に事故を起こしていた運転士の事故は7件にのぼり、同局は事故を起こした運転士に対し、カウンセリングなどの研修を強化する。 ただ、ここ数年、有責事故は大きく減少している。まだ「市バスの運転は荒い」というイメージを持つ市民も少なくないが、近年のピークだった07年度(159件)に比べ、3分の1以下に抑えられている。新型コロナウイルス禍前の19年度は75件だった件数はコロナ禍による外出自粛などで減少したが、観光客が回復して交通量が増えた23年度もコロナ禍とほぼ変わらず、同局は「コロナ禍前に戻ってしまう懸念もあったが、増加を抑えられた」という。 本年度の安全目標は、重大事故0件▽10万キロ当たりの有責事故件数は23年度を下回る数値―に設定した。最近発生している車内への置き去り事案も「0件」とした。 また新たな事故防止策として、「市バス安全カレンダー」を各営業所内に掲出し始めた。カレンダーの日付部分に、その日の過去に発生した事故の概要を紹介することで風化を防ぐのが目的だ。運転士の点呼時などに過去の事故を周知しているという。