「岸田・バイデン」の共同声明から読み解く日米関係…両者がタッグを組んで中国をはじめとした「権威主義国家」に見せつけるべきこと
「We are with you」
岸田総理は先週月曜日(4月8日)から6日間の日程で、米国に国賓として招かれた。米国滞在中に、バイデン米大統領との日米首脳会談を行い、両者による共同声明を発表したほか、米連邦議会の上下両院合同会議で演説したり、米国の経済人らと会談したり、日本企業の拠点を視察するなど、様々な足跡を残した。 【画像】韓国・文在寅の「引退後の姿」がヤバすぎる…! 中でも大きな成果は、水曜日(10日)の85分間に及んだ日米首脳会談を踏まえて、直後に「未来のためのグローバル・パートナー」と題する日米首脳共同声明を発表したことである。 この共同声明は、「防衛・安全保障」だけでなく、「宇宙の開拓」「イノベーション・経済安全保障・気候変動対策」「(同士国との連携強化を狙う)グローバルな外交・連携」など幅広く多様な分野で日米両国が協力を深めていくと宣言する内容になっている。 その成果を踏まえて、岸田総理は翌木曜日(11日)、米連邦議会の上下両院合同会議での演説し、ジョークを交えながら「We are with you(日本はアメリカと共にある)」とコミット、15回に及ぶスタンディング・オベーションを受ける栄誉にも浴した。 一連の岸田総理の対応は、日米両国にとって中国やロシア、北朝鮮の脅威に対抗するために不可欠なだけでなく、今年11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が復権を果たしたとしても日米関係が後戻りできないほど強固な関係を築いておく意図を込めたものだったという。そうした面では、総理訪米は大きな成果を挙げた格好だ。 しかし、成果の代償として、日米を軸とした軍事同盟の強化には、中、ロ、朝を刺激してエスカレートさせるリスクだけでなく、日米と中国が世界市場を分断して深刻なブロック経済化が進むリスクも付き纏う。 今週は、筆者がカバーする経済・通商の側面を中心に、岸田総理訪米の功罪を検証しておきたい。
かつてないほど「強固」な「防衛関係」
外務省の仮訳で、「未来のためのグローバル・パートナー」を見ていこう。この共同声明の最初のセクションのタイトルは、「防衛・安全保障協力の強化」だ。 冒頭で、日米安保条約に基づく両国の防衛・安保協力が「かつてないほど強固」だと誇示。バイデン大統領が同条約第5条(米国の対日防衛義務)を改めて確認した」ことに対し、岸田総理が「日本の防衛力と役割を抜本的に強化し、米国との緊密な連携を強化することへの日本のコミットメントを改めて確認した」とした。両国は、「尖閣諸島を含む、中国の東シナ海における力や威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を改めて表明」した。 次いで、米国は、日本が2027年度に防衛予算を GDP 比2%に増額する計画や、反撃能力を保有する決定、指揮・統制の強化のための統合作戦司令部新設などを歓迎し、日米同盟の強化と、インド太平洋地域の安定に貢献するとの考えを表明した。 新たな戦略的イニシアティブとして、両国は「作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、自衛隊と米軍の相互運用性と計画策定を強化するため、それぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」とした。 「日本のスタンド・オフ・プログラムを強化するための2国間協力を深化させる」とし、「トマホークシステムの運用能力を獲得するための訓練計画及び艦艇の改修を開始する」ことにもコミットした。 さらに、両国は、「極超音速の脅威に対抗する滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)協力開発3プログラムを追求することを改めて確認した」としている。 こうした2国間協力を土台にして踏み込むのが、志を同じくする地域のパートナーとの関係強化だ。この日に合わせて、日米豪の間で、ネットワーク化された防空面におけるアーキテクチャーに関する協力を発表したほか、AUKUS 諸国(豪、英、米の3カ国)と日本との協力や、日米韓の毎年の複数領域における共同訓練の実施などを歓迎する、とした。