ここからは、何が問われる選挙なのか、今回の衆院選の構図、情勢について、見ていきます。 スタジオには政治担当の前田記者です。 Q.今回の衆院選、石破新内閣の発足からわずか8日で解散、26日後の投開票となりいずれも戦後最短の「超短期決戦」となりましたがずばり争点は何ですか？ 「政治とカネ」の問題です。 自民党派閥の裏金事件に端を発したこの問題への対応が最大の争点となります。 本来であれば、政権選択選挙ですから、地震からの復旧、復興対策、物価高や賃上げなどへの対応、経済政策や医療福祉、教育など私たちの暮らしに直結する問題、さらには、人口減少、地方活性化など、待ったなしの重要な課題が山積しています。 そうしたことを最優先に論じ合う場になるはずですが、その前に、そうした課題に対応する議員自体の資質、政治のあり方を問わざるを得ない…そこに焦点を当てざるを得ない…そんな状況にあるわけです。 富山は「自民王国」と呼ばれ、衆院選では、2012年から4回連続で自民党が県内3つの小選挙区の議席を独占してきました。 しかし、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る収支報告書への不記載問題が相次いで発覚したことで、かつてない政治不信を招いています。 今回の選挙は、こうしたいわゆる「裏金問題」に対し、国民や県民がどう審判を下すか、そして、連立を組む、自民・公明が過半数の議席を維持できるかが注目ポイントです。 では、選挙区ごとに戦いの構図を見ていきます。 まずは、旧富山市がエリアの富山1区。 自民党と無所属の前職2人と野党の新人3人が立候補しました。 富山1区は、過去4回の選挙でいずれも7万票以上を集め、当選してきたものの、今回、政治とカネの問題で批判を受ける自民の前職がどれだけ票を維持できるか、「県都決戦」は、全国からも注目される選挙区です。 田畑候補は、政治資金パーティーで68万円の収支報告書への不記載があり、その後も、政治とカネの問題で批判を浴びていました。 今回、党本部の対応として比例への重複立候補は認められていません。 また、自民と連立を組む公明党も、田畑候補を公示直前ぎりぎりで推薦する「異例の対応」を取りました。 得票への影響は、避けられない見通しで15日の出陣式でも「厳しい戦い」との声が相次ぎました。 Q.その田畑候補への批判票がどこに集まるかこれが気になりますが…？ 批判票の受け皿となる絶好のチャンスのはずだったんですが…野党は、候補者を一本化できませんでした。 特に富山1区は、候補者が乱立状態で、自民の批判票が分散するとみられます。 無所属で、3期目を目指す吉田候補は、政治とカネの問題を踏まえ1区にふさわしい政治家を有権者に問いかけ、自民党の批判票を取り込みたい考えです。 ただ、自身も2年前の参院選を巡り比例候補に金銭を要求したなどとして日本維新の会から除名処分を受けた経緯があります。 吉田候補は、過去2回、比例復活当選していますが、無所属に比例復活はなく、小選挙区での勝利を目指します。 Q.野党の立憲、維新、共産は、どのような戦いを？ 2年前の参院選に続き、2度目の国政選挙に挑む立憲新人の山候補は、「政権交代なくして政治改革なし」を掲げ、「政治とカネの問題」を最大の争点とし、反自民票を 取り込みたい考えです。 生活者目線で、物価高対策や経済政策を訴え、支援を受ける労働団体の組織力を生かすとともに、浮動票獲得を目指し、街頭活動にも力を入れる構えです。 今回、国政選挙初挑戦となる維新新人の浅岡候補は、政治とカネの問題を争点とはせず、運動を展開していくことにしています。 教育費や医療費の無償化などの政策を訴え、政治に関心のなかった若い年代もターゲットに票の掘り起こしを狙います。 そのため、陣営は、SNSを積極的に活用することにしています。 衆院選3度目の挑戦となる共産新人の青山候補は、自民党の裏金問題を徹底的に追及する考えです。 政治とカネの問題に厳しい姿勢を取ることで、有権者への浸透を図り、前回の6800票から票の上積みを図りたいとしています。 同日選となる知事選で党が推薦した候補者との連動も図り、支持を訴えていく構えです。 Q.続いて、自民前職と野党の新人2人が出馬した2区はどうですか？ 共産新人の泉野候補は自民党裏金事件の徹底解明や企業団体献金の全面禁止を訴えるとともに、農業の盛んな2区で農業政策を強くアピールし、浸透を図る構えです。 立憲新人の越川候補は初出馬となった前回の衆院選で上田候補に4万8000万票あまり及ばず敗れましたが、今回は、政治とカネへの批判を背景に、7万票の獲得を目指しています。 自民前職の上田候補は、収支報告書への不記載はありませんでしたが、党への「逆風」のなか、これからの地域の形がどうあるべきかを訴え、市町村長や議員と連動し、支持固めを図ります。 3区も、自民前職と野党の新人2人による三つ巴の構図となりました。 3区は、県内でも特に自民の基盤が強いとされる選挙区です。 前回16万票あまりの得票で圧勝した自民の橘候補。 今回は官房副長官の公務と並行しながらの選挙となりますが、党の組織を活かし、支持拡大を図ります。 国民新人の大久保候補は、給与の上昇などの経済政策を前面に、政策論争に挑むとしています。 街頭活動を重視し、票を取り込みを目指します。 共産新人の坂本候補は、自民党の裏金問題を徹底追及する構えです。 暮らしや平和の問題も含め、反自民や無党派層を取り込み、支持を広げたいとしています。