犬を模範として生きよ…「あまりに異端すぎた哲学者」が「とんでもなく偉い人」に言い放った「衝撃の発言」の内容
ディオゲネスから得た「アナーキーな精神」
それともう一つ、気に入った彼のエピソード。彼は贋金を作ったかどで国外に追放された。なぜそんなことをしたのかというと、神から「国の中で通用しているもの(習慣、道徳、制度など)を変えよ」というお告げをもらったからだというのだ。お告げは幻聴だったのかもしれないが、この内容は哲学というものの重要な課題だと私の胸は躍った。 しかも私は高校時代セックス・ピストルズの大ファンで、なかでも「アナーキー・イン・ザ・UK」という曲がアンセムだった。アナーキーつまり「統治の不在」という発想に興味があって、政府や法律がなくても秩序は生じるのかということについて考えたいと思っていた。 それで、法律の牙城の中でそういうことを考え抜ける「法哲学」、つまり法を哲学という思考法で批判的に検討する学の道に入ったのだった。 でまあ、その後幾星霜とありまして、皮肉なもので結局この世で最も嫌いだった教員になって食べているという始末だ。働きたくなかったのに校務に追われ、子育てしたくなかったのに学生を指導(?)している。日本の銀幕は名女優を一人失ったのかもしれない。 さらに連載記事<海外のカジノで賭博をしても捕まらないのに、日本だと逮捕される「驚愕の理由」>では、私たちの常識を根本から疑う方法を解説しています。ぜひご覧ください。
住吉 雅美